20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の相対性。個人と社会の相互性などです。また歴史を語る歴史家自身も、少なからず自分の生活している環境に影響を受けているので、純粋に客観的な存在としての歴史家など存在していない、と断言しています。絶対的な存在としての歴史家はいない。「まず歴史家を研究せよ」というのは非常に重要なメッセージだと思います。彼はどんな時代のどんな国で育った人間なのか、その時代はどんな価値観が重視されていたのか、などの背景情報です。歴史を専門的に勉強していないと難解な箇所もありますが(特に19世紀、20世紀の歴史家の名前と思想がたくさん出てくるのでなじみがない)、全般的には普通のビジネスマンでも教養として読めるのではないかと思います。時間をあけてもう1度読むとさらに味わいが出るような本だと思います。
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- 感想投稿日 : 2023年4月28日
- 読了日 : 2017年5月25日
- 本棚登録日 : 2023年4月28日
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