有限と微小のパン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2001年11月15日発売)
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本棚登録 : 7194
感想 : 524

天才として人格のどこかでは孤独を感じる真賀田四季と、同じく天才の犀川・両親の死から天才としての成長に歯止めがかかっていた天才の萌絵、という構図でいいのかな。
犀川と萌絵は「出会ってしまった天才同士」として二人寄り添って生きていくんだろうな。キテレツな萌絵に振り回される犀川という構図がこれまでの典型だったけれど、「もう懲りただろう?僕に」というセリフで実は犀川の方が凡人のわたしたちから見てはちゃめちゃな人だったっていう…?でもいつでも犀川は萌絵の危険を察知しては思考を放棄して飛んでいってるし、萌絵も「いいえ」と答えているから、お互いの存在が飛躍して分裂していく思考をとどめてくれる安全装置となっているのかも。とにかく、性愛に縛られない魂のつながりをもつ男女といういかにも理性的で人間らしい愛の形を描写しきってしまう作者の頭の良さがすごいかも。
あと、この作家さんは死生観だったりノスタルジイを少し匂わせることが多いけど、「有限の生と微小の死」という単語がこれまたいい。また始めから読み直したい〜❗️

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月29日
読了日 : 2022年5月25日
本棚登録日 : 2022年5月25日

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