シェイクスピア全集 (5) リア王 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (1997年12月1日発売)
4.06
  • (43)
  • (31)
  • (33)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 382
感想 : 42
4

『リア王』は子どもの頃、お子様向けの読み物で読んだ記憶がある。三姉妹の父であるリア王が、一番優しいはずの末娘の言葉に怒り、追い出してしまう、その悲劇の顛末。…あたりは割とよくある昔話にも似たストーリーで、微かに記憶に残ってた。だが、シェークスピアのこの原作(翻訳であることは大前提として)はさらにグロスター家の父と息子たちも登場。元になった史実はあるみたいだけど、それにも増して、シェークスピアならでは(イメージです)の皮肉や性的なジョークも散りばめてある作品だった。
自分の財産を娘二人に分け与えた後、それぞれのところに代わりばんこに寄宿し世話になろうというのは、今も(というか今なら尚更?)トラブルの元。案の定、長女の元を追われ、次女からも疎まれることになる。
この作品を読んだきっかけは、この松岡和子さん翻訳の脚本で演じられる舞台を見に行くことになっていたから。(以下、舞台の感想も混じります。)結局、始まるまでに全部は読み終えられなかった。演じられた作品は大胆な演出で現代的というか前衛的なものになってた。シェークスピアの昔風の舞台をイメージしながら読んでたもので、前半戸惑ってしまったことは否めない。むしろ読んでなかった方が先入観なく見られたかもしれないという反省はした。ただ、登場人物を整理しながら読んでいたので、そこの理解はスムーズだったかも⁇予め元の戯曲を読んでいるのは悪いことではないと思うけど、そこからどんな演出がされるかはわからないから、なかなか諸刃の剣というところはある。聴力が落ちてきている年代なもんで、何を言ってるか、読んでた方が安心できるけど…。(俳優さんによって、聞き取りやすい方とそうでない方がいらっしゃったのは否めない…)
まぁ、パンフの情報くらいで、あんまり予備知識を入れない方が、今回においては良かったかな~。
読まずに見ていた最後、次々に人が死んでいく。心のどこかで救われる結末を期待していた自分に気付いた。そういえば『リア王』は四大悲劇の一つだった。
見終わってラストを読んだ。これがああなったのか…。やっぱり大胆な演出だ。正直、お金と時間があれば、もう一度見たい。というか、見落としてるところがたくさんある気がした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読んだ本
感想投稿日 : 2024年4月29日
読了日 : 2024年4月26日
本棚登録日 : 2024年4月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする