コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる

著者 :
  • 学芸出版社 (2011年4月22日発売)
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著書がランドスケープ(景観、公園)デザインのハードから、ハードや地域を担う人や組織に焦点をあて、彼らが主体になるための仕掛けやプログラムをマネジメントしていく過程が仕事を通じて進んでいく。
絶えず試行錯誤しながら、地域の課題は当事者が中心となって解決していくように仕掛けていく姿勢、ノウハウが参考になった。
例えば、過疎対策や移住者で有名になった隠岐海士町で、通常はコンサルが作成する行政の中期(10年)基本計画「第四次総合振興計画」を住民が行政と一緒に策定した過程が面白かった。住民から、
1人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできること、
つまり、自助、共助、公助の具体案が提示され、行政ビジョンに取り入れられた。



終盤にある以下の文書が本書の根底にある考えなので、長いが抜粋する。

「社会的な課題に対してデザインは何が可能なのか。漠然と考えていたテーマが、このとき明確になった。デザインはデコレーションではない。おしゃれに飾り立てることがデザインなのではなく、課題の本質を掴み、それを美しく解決することこそがデザインなのである。デザインはdesignと書く。de-signとは、単に記号的な美しさとしてのサイン(sign)から抜け出し(de)、課題の本質を解決する行為のことを言うのだろう。僕が取り組みたいと思っていたデザインは、まさにそういうデザインである。人口減少、少子高齢化、中心市街地の衰退、限界集落、森林問題、無縁社会など、社会的な課題を美と共感の力で解決する。そのために重要なのは、課題に直面している本人たちが力を合わせること。そのきっかけを作り出すのがコミュニティデザインの仕事だと考えるようになった。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年1月10日
読了日 : 2012年1月10日
本棚登録日 : 2011年12月24日

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