やっぱり変だよ日本の営業

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2009年3月1日発売)
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感想 : 17
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文句なしの五つ星。モノを売る仕事に関わる人は、一度は読んでおきたい一冊。
著者は宋文洲。ソフトブレーンの創業者で
現在は、コメンテーターなどをやっている。
含蓄のあるコメントで、Twitterもメルマガも人気だ。

本書は、営業マンの人間力に頼る日本の会社の営業スタイルを批判し
もっと戦略的・組織的な営業手法を提唱している。
私も、本書の考え方に全面的に同意する。


本書の主張を、私なりの解釈で書いてみると以下のようになる。。

(1) 測れるものは改善できる

日本の会社では、営業の業務プロセスは複雑かつ非定型だと考えられている。
しかし、業務プロセスを整理・細分化してみると
どの営業マンも似通った事をやっている。

各々の業務プロセスをしっかり定義し
そのプロセスを数値で管理するようになれば
必ず数値は改善させる事ができる。

日本の営業は個人の能力を重視するあまり
業務プロセスを管理する事を嫌う。
管理するのは、受注や売上といった成果だけだ。

しかし、訪問回数、見積提示回数などなど
さまざまなプロセスを定義・数値化して記録を取れば
結果の良い営業マンの行動と、普通の営業マンの行動がどう違うのか一目瞭然となる。

測れるものは改善できる。

しかし、測っていないものは改善が難しい。
「気合いを入れてとにかくがんばれ!」としか言いようがないのだ。


(2) 人間は不完全な存在である
これは本書だけでなく、宋氏のコメント全体に感じる事であり、私も100%同意する。

日本の会社の営業はデキナイ人に冷たい。
「デキナイ奴は放って置いて、デキル奴が思いっきり売れ!」という方針であるかのようである。

しかし、この方針は非常に効率が悪い。
デキル人にとっては残念な知らせだが
世間の6割は普通の人、2割はデキナイ人で構成されているのだ。

デキル人以外を全員解雇するという方針が、事実上不可能な日本の会社は
どんなに頑張っても、ヤンキースやレアルマドリードには絶対になれない。

なので、むしろ
「デキナイ人でも普通の人でも、そこそこは売れる」という
弱小球団の野村野球を目指すべきである。

実は日本の会社でも、製造部門にはこういった考え方が浸透している。

工員が誰であっても、必ず同じ規格の製品ができること。
工員がミスをしても、しっかり不良品を摘出して一定の品質の製品が作れること。

根底には「人間は不完全な存在である」という思想がある。

不完全な人間に最終成果物が左右されないように
プロセスの標準化や数値化を行い、成果のバラつきを最小化するようにしている。



著者の宋文洲氏は同様の考え方を営業プロセスに取り入れ
営業支援システムとして大成功を収めたという訳です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事論・仕事術
感想投稿日 : 2013年8月28日
読了日 : 2011年6月15日
本棚登録日 : 2011年6月15日

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