小説の手法を駆使したミステリー小説。此処まで語る事が出来るのかと畏怖すら感じる。作家の読書経験を召喚して、多様な語り部を交錯展開する物語作りだが、煩雑に成らずスイスイ読み進めてしまう面白さが奥泉の世界。
副題の助教授が堪らなく小市民の小心者なのだが、本人が意識する以上に物語に関与するにも係わらず、謎解きには無関係なのがアイロニーか?
途中から参画した元夫婦が探偵を引き受けて真相に迫る。過去の謎とも交錯しながら虚構の世界も醸し出す。何でもありにみえながら文章に現実性は保持されている。作家が意図して描く物語を共有出来る作品で有る事には首肯出来る。要は面白い!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年6月12日
- 読了日 : 2015年6月12日
- 本棚登録日 : 2015年6月12日
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