宗像教授は、第1話「再会」で竹取物語と浦島伝説とが本来一つの説話だったという大胆な仮説を提示する。詳しくは本書をご一読頂きたいが、その根拠の一つが星(ツツ)は天球の穴であり天球の外にある常世への門であるとする古代日本人の宇宙観である。第1話では、星(ツツ)は筒(ツツ)と通じ、筒状の木である竹との関連性までは言及されている。そして第2話「テキスト 天空の神話」では、天球にあいた穴である星(ツツ)は天球の厚み分だけ奥行きがあり、筒状と考えられていたことも指摘される。となれば、かぐや姫が見付かった竹も常世への通路だったと考えて然るべきだろう。例えば、伊藤清司は「(ソロモン諸島)の一部には、マウテキテキの神が竹の筒の中、あるいは植物の根もとの穴を通って、別世界に通行するという神話伝承がある」と報告している(「水底の説話」)。今回は物語構成上難しかったのかも知れないが、この点についても触れて欲しかったなあという気がする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2012年9月16日
- 読了日 : 2007年9月9日
- 本棚登録日 : 2012年9月16日
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