旗師の女性が活躍する、美術ミステリー小説。
同業者に贋作を掴まされた主人公は、矜持を懸けて、元凶に意趣返しの罠を仕掛ける。
さなかに巻き込まれた殺人事件の謎解きと、骨董業界に蠢く、曰くありげな者たちの思惑がひしめくコンゲーム小説でもある。
美を扱い、鑑定する業界の奥深さ。
醜悪なまでの泥臭さと、その先にある奇妙な高尚さ。
美と醜さが共存、というよりも、表裏一体としてそこに在る。
そして、時間の織り成す功罪。
人間の業と、プロ同士の化かし合いが入り乱れる複雑な世界観の中、誇りを持って挑み続ける、ヒロインの凛とした涼やかさが際立つ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(ミステリ・サスペンス)
- 感想投稿日 : 2020年9月14日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2020年9月14日
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