仁義なきキリスト教史

著者 :
  • 筑摩書房 (2014年2月26日発売)
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本棚登録 : 527
感想 : 80
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『完全教祖マニュアル』に続く、架神恭介先生の宗教入門書。

宗教というと、判りづらくて取っ付きにくい(というか取っ付くと色々面倒臭そう)というあたりから、敬遠されがちなテーマですが、架神先生の著作は、宗教の概念をよーく噛み砕いて実に「俗っぽく」紹介してくれる。読み終わるとあら不思議、「理解不能かつ神聖不可侵」だと思っていた宗教ってのもまた、利害絡んだ人の営みのひとつと理解でき、忌避感が消え去っているのだから面白い。

しかしこのキリスト教に関して言えば、俗っぽくまとめても、下手なカルト教団よりも「信者怖え」という感想しか出てきませんなwある意味それが作者の意図した所なのかもしれませんが。

キリスト教徒を「やくざ」と見立てることにより、宗教上のイベントが実に血肉の通った「物語」として理解できるようになる、というのが本著の面白いところ。
しかし、序盤のイエス存命時はそのメソッドが実に有効に活きてくるものの、中盤から「国」が絡んでくると、少々そのメソッドから外れて、単に「歴史説明を広島弁で行っているだけ」としか解釈できず、飲み込みづらい部分もあったり。例えば「国」を「県警」か何かに見立てることができれば、また「やくざ」の見立ても活きてきたのかなぁと思うところもありました。もしかしたら、国の中枢にやくざが絡んでいるという『忍殺』のニンジャ的世界観を醸し出そうとしているのかもしれませんが。やはり本作については「やくざ用語」での見立てを貫いて欲しかったなーというのがありました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2014年4月14日
読了日 : 2014年4月14日
本棚登録日 : 2014年2月28日

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