世界最悪・最大とまで言われ、520名の死者を出した御巣鷹山航空機事故を取り上げる本巻。航空機の安全神話は崩れ、企業の緩慢体質も明らかになった。
責任の所在を明らかにせず、自らも責任を取ろうとしない経営陣(表面上は辞職したが、ほとぼりが冷めた後は別のポストにつこうと画策している)の姿勢は今でもいろいろなところで罷り通っているように思うが、やはり情けない。権力は人を狂わせてしまうものなのかと改めて思ってしまう。
そんな企業の中にあっても遺族の世話係となった社員たちの懸命な姿(中にはそういった熱意がない者もいるが)には胸打たれるものがある。遺体回収・収容の現場、その後の補償交渉と休まる暇がない。ただ、そこに割と窓際と呼ばれる社員たちが充てられているのも企業の誠意が全く感じられない。
企業の闇とはかくも深いものなのかと痛感してしまう。大会社となればなるほど、闇は深く、しがらみは根強いものなのかもしれない。
同じ御巣鷹山航空機事故をメディアの観点から取り扱った「クライマーズ・ハイ(横山秀夫)」も併せて読むのもオススメ。
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- 感想投稿日 : 2020年5月27日
- 読了日 : 2020年5月27日
- 本棚登録日 : 2020年5月24日
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