組織の膿をを出し切るのは、かくも難しいものであることを痛感させられる。不正が不正と言えない会社体質、自身の保身と出世しか考えない役員の姿勢には呆れてものも言えない。
自分の意見は認められず、会社に振り回され続ける主人公の精神力はどこから来るのだろうか。会社からコケにされても会社のために尽くそうとする。確かに辞めてしまえば会社の思惑通りだろうが、ここまでされても勤め続ける意志にはある種の恐ろしささえ感じる。こうした意志は現代では通用しないのかもしれないが、こういう気骨のある人がいるから会社として存在し続けていられるのだろうとも思う。そうでなければ、会社は潰れてしまいかねない。この作品のタイトル「沈まぬ太陽」には、そうした人達への思いも込められているのだろうかと思えてくる。
本作は小説ではあるが、描写があまりに細かくほぼノンフィクションのように感じる。3篇5巻の大作である。
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- 感想投稿日 : 2020年5月31日
- 読了日 : 2020年5月31日
- 本棚登録日 : 2020年5月30日
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