なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2010年8月28日発売)
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今更だが先日の死刑確定を受け、読んでみた。今読んだからこそ、本村さんの長く孤独な戦いが報われたことに、改めてよかったと感じる。それとともに、F元少年という人物のわからなさがますます本書を読んで増した(『福田君を殺して何になる』は先に拝読していたが、そのときも本当に訳の分からない人間だと思ったものだ)。ただ、もし本当に彼に罪を悔いる気持ちが芽生えたのなら、それは本村さんがここまで徹底的に司法の矛盾と戦ったからであり、その結果死刑判決が下されたからに他ならない。もし本村さんが泣き寝入りしてFが死刑にならなかったら、Fは間違っても反省していなかったと思う。自らの働きにより日本の司法を大きく変え、妻子を殺した犯人を改心させるに至ったのだから、本村さんの戦いには大きな意味があったと思う。改めて、お疲れ様でした、と言いたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2012年3月5日
読了日 : 2012年3月5日
本棚登録日 : 2012年3月5日

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