読書の愉悦とはこのことですね。「源氏物語」に関する造詣は「光の源氏の物語」で存じていますが、本作では、その成立論を中心に、紫式部と藤原道長の関係性を現代の安佐子と長良に重ねる重層性をみせたり、「源氏物語」の語りの多重性を章立てごとに表現形式を変えて見せることで表したりと、碩学が大空を自在に遊ぶ境地を見せつけられます。巻末の鹿島茂さんの解説が、本作を読み解いた興奮が隠しきれないような書き振りで微笑ましい。執筆時の丸谷才一さんは御歳77歳でしょうか。羨ましいばかりの歳の重ね方です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年10月2日
- 読了日 : 2021年10月2日
- 本棚登録日 : 2021年10月2日
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