この世のすべての作品が、とはいいがたいかもしれないけれど、作品の結びに作品のタイトルがひたりと吸いつくことがある。
主人公はいわゆる「かわいそうな女の子」ではなく、家族も「特別な家」では決してない。人は自分の人生しか歩めないのだから、彼女にとっての日常はそこにしかない。それはこの世に生きる誰もにとって、同じことだ。主人公は生きることに工夫をして、「ふつう」に生きている。ふつうに生き、ふつうに成長をした、彼女のふつうが、どうしても「ふつう」ではいられなかった。わたしは傷ついたのだと嘆くこともしなかった主人公が、ある日なにかを決壊させてしまうまでの、人生を見つめた観察日記のような話だった。

2017年3月12日

読書状況 読み終わった [2017年3月12日]
カテゴリ 小説

青柳文子さんの本なれど、「青柳文子のおしゃれの本」ではないところが、この本の特徴のような気がします。もちろん、青柳文子さんはかわいく、どの頁もすてきだけれども、ファッションのことだけではなくて、とにかく「青柳文子のエッセンス」が詰まっています。インタビューも多くて、読み応えもバッチリ。おしゃれの話にひと通り耳を傾けたら、青柳節を感じられるもろもろの文章を読んでふむふむと頷きたい本です。

2015年3月11日

読書状況 読み終わった [2015年3月11日]
カテゴリ おしゃれ
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