ナラタージュ

著者 :
  • 角川書店 (2005年2月28日発売)
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再読。10年ぶりくらい。

島本さんの作品は、いつも女性の心情にばっかり目がいっちゃうのだけど、再読したら、先生と小野君の言葉や行動をおってる自分がいました。

先生の言葉の中で最もずるいと思ったのは「どうしてかは分からない、だけどとにかく君には、ほかの相手よりも正確に僕の言葉が伝わっているという実感がある。」という部分。こんなん20歳の女の子が言われたら、先生のことをわかってあげられるのはーって勘違いしちゃうから。というか勘違いじゃなくて、言われた本人は、確信したくらいに思っちゃうから。
また、私の職業柄これはその通りだなって思ったのは、「たまたま僕の言ったことと、それを受け取る側の波長が合っただけだよ。」という言葉。同じ言葉でも受け取る生徒しだいで効果は変わってしまう。(変わるというか、ない場合も)そしてこれだって、波長が合いすぎちゃったことによってこうなっちゃったんでしょうよ。でも効果は出てからじゃないと気付かないし、気づいた時にはもう手遅れだったりするのよね。

一方の小野君。再読して改めて感じたけど、狂気。外堀を埋めてく感じとかほんと怖すぎ。というか実家帰りすぎじゃない。東京から長野ってそんな近くないよ。実家のお母さんから見た小野君の話を聞くと、好青年に見えた小野君が一気に寂しがりやで依存心の強い男の子に。先生への気持ちが残ったままでもいいって言っておきながら、不安に耐えきれなくて様々な行動に出てしまう小野君の気持ちがわからないでもないけど、それにしたって狂気。こういう男の子は泉のような女の子と付き合ってはいけないよ。でもこれも一瞬波長が合った気がした(たぶんこれは気のせいだった)からこうなったんだよね。

10年も経つとまた全然違う気持ちで読めるものだな。また10年後読もうかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月25日
読了日 : 2021年9月23日
本棚登録日 : 2017年9月24日

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