日本会議の研究 (扶桑社新書)

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  • 扶桑社 (2016年4月30日発売)
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【久保田和男先生】
ベストセラーであり、大宅壮一ノンフィクション大賞の候補作である。「日本会議」とは現政権の支持団体として大きな影響を及ぼしている右派団体とされている。大阪の某幼稚園の校長もこの団体のメンバーであった。この事件が勃発する一年前に出版されたこの本の222頁には、某幼稚園がなぜ、「愛国教育」を行っていたのか、「日本会議」の活動の中で紹介している。私がこの本読みながら、著者の執拗な探究心に感心した。ポイントは、右翼団体としての日本会議が、とある巨大宗教団体の分派が、成長してものであること。その分派は、70年安保における、左派学生に対する対抗勢力として出発した人々が中心となっていること。かれらが、左派学生がとったビラ配り、街宣活動、セクト主義などを学んで、右派を束ねる巨大な組織に発展してきたことが理解出来る。本書の特徴は、その時期エリート然としていた左派学生に対する怨念として、この右派団体の活動が継続しているという整理である。これは、やや一面的な見方ではないかという読後感も得たが、人間社会の歴史の中ではありがちなことである。最後に一人の黒幕(ラスボス)をつきとめるという内容構成をとっているが、これは、読者をわくわくさせるものである。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 教員お薦めの本
感想投稿日 : 2017年5月22日
本棚登録日 : 2017年5月22日

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