大学を卒業後、売れない物書きとして日々を過ごしていた綿貫征四郎は、学生時代に亡くなった親友高堂の父親から、家の守をしてくれないかと乞われる。山と田んぼに続く疎水に囲まれた自然豊かな屋敷には、多くの木々や草花がひしめく庭が。
夕方から風雨が激しくなったある夜、突然庭のサルスベリが窓に体当たりしてきて幻聴が聴こえたかと思うと、亡くなったはずの高堂が掛け軸から現れて……。
亡き親友の実家を管理することになった主人公と、彼を取り巻く不思議なできごとを綴った短編集。
掛け軸から亡くなったはずの親友が出てきたり、感情を持っているかのような庭の木々、河童や小鬼など不可思議な生き物が現れたり……。ちょっと奇想天外な物語なのに、まるごと受け入れてしまうのは、梨木さんの文章のなせる技か、はたまた時代やシチュエーションによるものかわからないけど、すごく好き。
装丁も、ずらりと植物の名が並んだ目次もたまらなく好きな一冊です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ナ行の作家
- 感想投稿日 : 2014年3月31日
- 読了日 : 2014年1月5日
- 本棚登録日 : 2014年1月5日
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