白蓮れんれん (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2005年9月16日発売)
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本棚登録 : 1739
感想 : 172
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朝ドラでは主人公の花子よりも気になっていた白蓮さん。
この作品では福岡の炭鉱王に嫁いだところから離婚して新たな家庭を築くところまでが描かれている。
時代と身分に翻弄され、本当の意味で人を愛することを知らず、我慢とあきらめの毎日、苦悩に満ちた前半部分から、心から愛せる人と出会い逃避行するという大胆な行動に出るまでの、女としての心の移り変わりが見事に表現されている。
そして実際に燁子が記した和歌や手紙が要所に挿し込まれているが、これがとても美しい。単なる恋愛小説で終わらず、明治大正の時代背景や文化を感じ取ることもでき、日本庭園の眺められる和室で温かい日本茶を啜りたくなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年12月13日
読了日 : 2015年12月10日
本棚登録日 : 2015年11月10日

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