雪 (岩波文庫 緑 124-2)

著者 :
  • 岩波書店 (1994年10月17日発売)
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感想 : 74
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(2007.07.27読了)(2007.07.22購入)
岩波新書版「雪」の出版されたのは、1938年11月20日ということです。約70年前です。
読みたかったのですが、なかなか見つかりませんでした。1994年に文庫が出ていました。
やっと入手して、早速読んでみました。
雪の結晶を見て不思議に思った経験があるでしょう。雪の結晶を撮影した写真を見ると、どうしてこんなにいろいろな形があるんだろうと思うでしょう。
上空の気象条件によって結晶が変わるということです。
雪の結晶は、きれいなもの以外に、結構つまらないものもあるようです。そんなのは、研究者でもない限り、掲載してもしょうがないので、載らないということです。

●雪の結晶は、天から送られた手紙(162頁)
雪は高層において、まず中心部が出来それが地表まで降って来る間、各層においてそれぞれ異なる成長をして、複雑な形になって、地表へ達すると考えねばならない。それで雪の結晶形及び模様が如何なる条件で出来たかということが分かれば、結晶の顕微鏡写真を見れば、上層から地表までの大気の構造を知ることが出来るはずである。そのためには雪の結晶を人工的に作ってみて、天然に見られる雪の全種類を作ることが出来れば、その実験室内の測定値から、今度は逆にその形の雪が降ったときの上層の気象の状態を類推することが出来るはずである。
●雪の結晶の形(47頁)
平面的で、かつ六次の対称をしているような結晶以外に、沢山の複雑な形の雪が存在する、立体的の構造のもの、あるいは不規則な形のもの、あるいは無定形に近いようなもの、すなわち見た目には汚い形のものが非常に多いのである。
●雪(59頁)
水蒸気が非常に気温の低いところで凝縮する場合、水の状態を飛び越して固体、すなわち氷になるのである。雪は水蒸気が直接に氷になったものである。
●霜柱(78頁)
霜柱は霜とは成因の全く異なったものである。あれは土の中の水が凍ったものであって、普通水から凍った氷は結晶にならぬ。霜柱の時は例外であって、土の性質によるものである。霜柱は関東地方の赤土にもっとも顕著にできやすいもので、外国ではあまり出来ない。

著者 中谷宇吉郎
1900年 石川県生まれ
東京帝国大学物理学科卒業
1928年 イギリスに留学
1930年 帰国、北海道大学に赴任
1962年 死去
(2007年9月4日・記)
内容紹介(amazon)
天然雪の研究から出発し,やがて世界に先駆けて人工雪の実験に成功して雪の結晶の生成条件を明らかにするまでを懇切に語る.その語り口には,科学の研究とはどんなものかを知って欲しいという「雪博士」中谷の熱い想いがみなぎっている.岩波新書創刊いらいのロングセラーを岩波文庫の一冊としておとどけする. (解説 樋口敬二)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 天文・地球
感想投稿日 : 2010年3月2日
読了日 : 2007年7月27日
本棚登録日 : 2007年7月27日

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