雄気堂々(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1976年5月30日発売)
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「雄気堂々(上)」城山三郎著、新潮文庫、1976.05.30
348p ¥320 C0193 (2021.02.04読了)(2021.01.24借入)(1981.11.10/12刷)
2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公は、渋沢栄一ということです。
関連する本を読んでみようと図書館の蔵書検索で「渋沢栄一」をキーにして検索してみたら検索結果として表示された本の中にこの本がありました。題名から渋沢栄一を連想することはできなかったので、ちょっとびっくりしました。
城山三郎さんの本は既に何冊か読んで気に入っているので、まずはこの本から始めることにしました。
読んでゆくと「建白魔」という言葉が何度も出てきます。渋沢栄一は、「建白魔」だったのですね。今でいうと、起業家精神に通じるのだと思います。実際に多くの起業を行っています。
上巻は、渋沢栄一と尾高千代の祝言から始まって、明治新政府になり、栄一が大隈重信に呼び出されて、新政府への出仕を決心するところまでが述べられています。年齢でいうと19歳から30歳までです。
◆渋沢栄一- 小学館 大辞泉
[1840~1931]実業家。埼玉の生まれ。一橋家に仕えて幕臣となり、パリ万国博覧会幕府使節団に加わって渡欧。維新後、大蔵省官吏を経て第一国立銀行を設立。各種の会社の設立に参画し、実業界の指導的役割を果たした。

【目次】(なし)
序曲 流産祝
祝言
四角四面
紙一重
父と子
横浜焼打ち
逃げる
凶報
変節
不発の罪
二人の英雄
心残りの事
仕事をつくる
一転また一転
別天地
脱走の勇者
宝台院の夕暮れ
若き神々たち

◆登場人物
渋沢栄一
尾高千代 栄一の妻
尾高新五郎 千代の兄、栄一の師
渋沢市郎右衛門 栄一の父、藍葉農家
渋沢えい 栄一の母
尾高長七郎 千代の兄、志士
尾高平九郎 千代の弟
尾高やえ 千代の母
渋沢宗助 渋沢本家
喜作
真田範之助 水戸浪士、町道場主
小腰平助 元水戸藩士
平岡円四郎 一橋家用人
新門辰五郎  町火消

●近代日本の礎石(5頁)
設立し関係した企業五百、同じく関係した公共・社会事業六百といわれ、近代日本の無数の礎石を築いた人といえる。
●社会への恩返し(8頁)
成功は社会のおかげ。成功者は社会に恩返しすべきだというのが、渋沢のそぼくだが強い信念でもあった。社会事業などには必ず応分の寄付をするとともに、世の成功者たちに呼びかけて寄付させるのも、渋沢が三十代からはじめて一生を貫いた仕事であった。
●論語好き(14頁)
渋沢は生涯、論語を愛し、論語の文献を集め、講読会を開き、儒教倫理を説いた。ただし、論語には、女性に対する戒めはない。
●横浜焼打ち計画(94頁)
同勢約七十人で、まず、そこ(血洗島村?)から八里の高崎城を襲撃した後、鎌倉街道を急進して横浜にいたり、外人居留地の四方八方に火を放って、外国人を手当たりしだいに斬殺そうというものである。

☆城山三郎さんの本(既読)
「辛酸」城山三郎著、中公文庫、1976.01.10
「黄金の日日」城山三郎著、新潮社、1978.01.05
「硫黄島に死す」城山三郎著、新潮文庫、1984.07.25
「落日燃ゆ」城山三郎著、新潮文庫、1986.11.25
「静かなタフネス10人の人生」城山三郎著、文春文庫、1990.06.10
「彼も人の子ナポレオン」城山三郎著、講談社文庫、1999.03.15
「指揮官たちの特攻」城山三郎著、新潮社、2001.08.05
「そうか、もう君はいないのか」城山三郎著、新潮社、2008.01.25
「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」城山三郎著、新潮社、2009.01.25
(2021年2月7日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
近代日本最大の経済人渋沢栄一のダイナミックな人間形成の劇を、幕末維新の激動の中に描く雄大な伝記文学。武州血洗島の一農夫に生れた栄一は、尊王攘夷の運動に身を投じて異人居留地の横浜焼打ちを企てるが、中止に終った後、思いがけない機縁から、打倒の相手であった一橋家につかえ、一橋慶喜の弟の随員としてフランスに行き、その地で大政奉還を迎えることになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2021年2月9日
読了日 : 2021年2月4日
本棚登録日 : 2021年2月1日

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