饗宴 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1968年9月3日発売)
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感想 : 26
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(2013.08.09読了)(2004.10.30購入)
以前一度、岩波文庫版の「饗宴」を読んだのですが、よく分かりませんでした。
2013年7月のEテレ「100分de名著」で「饗宴」が取り上げられ、そのテキストを読んだついでにもう一度トライすることにして、今回は、新潮文庫版を選びました。
新潮文庫版の方が、岩波文庫版よりわかりやすかったように思います。
食事をとりながら、集まった人たちが、順にエロース(愛の神)を讃美するということです。
最後にソークラテースが述べるのですが、ソークラテースが自分の考えを述べているわけではなく、ディオティーマという女性から聞いた話を述べています。
その話は、エロースの讃美というよりは、人生の目的は、という話になってしまっているようです。「愛こそはすべて」なのかもしれません。

【見出し】
アポロドーロス、アガトーンの家で行われた饗宴に関し、聞きおよんだ次第を語る。
以下の全編は、アリストデーモスより聞いた話を、アポロドーロスが伝えたもの。ま
ず、アリストデーモスが、偶然ソークラテースに出逢い、饗宴におもむいた次第を。
エリュクシマコスが、愛の神の讃美を、饗宴の主題として提案した次第を。
パイドロスの話
パウサニアースの話
エリュクシマコスの話
アリストパネースの話
アガトーンの話
ソークラテース意見を述ぶ
ソークラテース、アガトーンと語る
ソークラテースの話
酩酊のアルキビアデース登場
アルキビアデース、ソークラテースを讃美す
注解
解説  森進一

●本来の姿(54頁)
昔の僕たちが、完全なる全体をなしていたからなのだ。そして、その完全なる全体への欲求、その追求こそ、愛という名がさずけられているのです。
●身に欠いているもの(72頁)
欲求するものはいつだって必ず、それが身に欠いているものを欲求するのではないかね? いや、言いかえれば、身に欠いていない場合には、欲求もしないのではないのかね?
●愛の神(エロース)(82頁)
愛の神は、策知の神ポロス、貧窮の女神ペニアーの間に生まれた息子であります
●幸福(86頁)
「善きものを自分のものにした人は、いったい何を手に入れることになるのか」
「その人は、幸福になりましょう」
●愛(89頁)
愛とは、善きものが、永久にわが身のものになることを、目的としているのです
●名誉(95頁)
名誉にかられた人びとときては、名誉を得るためなら、わが子のためにするにもまさって、ありとあらゆる危険を冒すこともいとわないし、財貨の浪費も、また、いかなる労苦も、あるいはそのために命を失うことも、いとわぬ、というありさまです。
●魂に宿る美(99頁)
魂に宿る美は、肉体に宿る美よりも尊いものと考えねばなりません

☆関連図書(既読)
「ソクラテスの弁明・クリトン」プラトン著・久保勉訳、岩波文庫、1927.07.03
「饗宴」プラトン著・久保勉訳、岩波文庫、1952.10.05
「ソクラテス」田中美知太郎著、岩波新書、1957.01.17
「プラトン『饗宴』」納富信留著、NHK出版、2013.07.01
(2013年8月10日・記)
内容紹介 amazon
なぜ、男は女を求め、女は男を求めるのか? 愛とは、いったい何なのか? 悲劇詩人アガトーンの第一位入賞を祝う酒席で、五人の仲間たちが愛の神エロースを讃美する即席演説を試みた。男女の肉体的な愛に始まり、最後は真打ち格のソークラテースによる美のイデアとしての愛に終る本書は、およそ考えうる限りの愛の姿を論じてプラトニック・ラヴの出典ともなった永遠の名著である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 100分de名著(海外)
感想投稿日 : 2013年8月10日
読了日 : 2013年8月9日
本棚登録日 : 2013年8月7日

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