マンガ世界の文学 (1)赤と黒

  • 世界文化社 (1995年11月1日発売)
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「赤と黒 マンガ世界文学1」スタンダール原作・里中満智子著、世界文化社、1995.12.01
270p ¥1,300 C0379 (2019.07.26読了)(2019.07.25借入)
「パルムの僧院」スタンダール著、を読んだついでに、ずいぶん昔に読んだ『赤と黒』の内容を手っ取り早く確認しようと、マンガ版を借りてきました。
主人公のジュリアン・ソレルは、ナポレオンにあこがれていますので、『パルㇺの僧院』と似たような設定ですね。
「恵まれない階級の男が自分の意志と情熱と努力で頂点に立った 能力のあるものが上に立つ―これこそ正しい世界のあり方だ」
「人は「生まれ」じゃない「階級」じゃない ナポレオンはそれを示してくれた」(7頁)
残念ながらナポレオンの時代は終わり、貴族の時代に戻ってしまった。軍人でのし上がることはできなくなったけれど、僧侶の道はまだ残されている。
『赤と黒』の赤は軍服、黒は僧侶の服を意味しています。
教会の司祭にラテン語を教わったジュリアン・ソレルは、19歳でその能力を買われ、町長のレナールさんの子供たちの家庭教師となった。ジュリアンの父は、製材所をやっていた。
レナールさんの子供は3人。「軍人、裁判官、聖職者にさせるつもりです」(26頁)
ジュリアン、レナール夫人、の心理描写が、ちょっとうるさい感じです。ジュリアンは、小間使いのエリザとの結婚話は断っています。野心があるので。
ジュリアンは、レナール夫人(ルイーズ)が自分に好意を抱いているように思われたので、あれこれ試した後、夫人の寝室に忍び込みベッドを共にすることができました。二人は恋におちました。
二人の様子を見て、エリザは、教会の司祭に告白します。そのことが、レナール町長のライバル、ヴァルノの耳に入り、町のうわさになってしまいます。
ジュリアンは、ジュリアンの先生であるシェラン司祭のすすめで、家庭教師を辞めて神学校へと進むことにしました。
神学校でのジュリアンは、優秀な成績だったが、師事した校長が、少数派の派閥に属していたため、校長が、学校を辞めてパリに行くのに従って、パリにでることになった。
パリでは、ラ・モール侯爵の秘書のような仕事を任された。「図書館で侯爵様の代わりに手紙の返事を書くこと」(131頁)
パリの社交界での振る舞いを教わったジュリアンは、決闘までしてしまいます。腕の怪我で済みましたが。決闘相手の、ボーヴァジー氏には、気に入られてしまいました。
ラ・モール侯爵の娘のマチルドは、ジュリアンに興味を抱きちょっかいを出してきました。ジュリアンはそれに応じたのですが。マチルドは気まぐれなので、駆け引きがたいへんです。
ジュリアンは恋の駆け引きに勝ち、マチルドと結婚することになりました。ラ・モール侯爵の配慮により、ジュリアンは、従男爵になりました。土地の贈与と年収一万フランも約束されました。(217頁)さらに、ストラスブールの軽騎連隊に中尉として入隊することも命ぜられました。
ジュリアンは、レナール夫人からの告発によりマチルド嬢との結婚はご破算になりました。ジュリアンは、レナール夫人を銃殺し投獄されます。銃殺したつもりが、一命はとりとめた、とのことです。
マチルドは、ジュリアンを助けようと裁判を有利にしようと動きます。
裁判で、ジュリアンは貴族社会への挑戦を宣言し、有罪を望み望み通り、死刑の判決を受けます。公訴はせず、死刑となりました。23歳でした。
軍人になることも僧侶になることもありませんでした。

【目次】
第一章 プロローグ
第二章 レナール家
第三章 レナール夫人
第四章 スキャンダル
第五章 ブザンソン神学校
第六章 ラ・モール侯爵家
第七章 マチルド
第八章 激情
第九章 被告人ジュリアン
第十章 エピローグ
あとがき
参考文献

☆関連図書(既読)
「パルムの僧院(上)」スタンダール著・大岡昇平訳、新潮文庫、1951.02.15
「パルムの僧院(下)」スタンダール著・大岡昇平訳、新潮文庫、1951.03.15
「赤と黒 上」スタンダール著・小林正訳、新潮文庫、1957.02.25
「赤と黒 下」スタンダール著・小林正訳、新潮文庫、1958.05.20
(2019年8月8日・記)
(本の表紙より)
赤は軍服、黒は僧衣―恋を踏み台に野望に生きる、才気と美貌の青年ジュリアン・ソレル。彼の複雑な恋愛心理を描く、里中満智子入魂の力作!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2019年8月8日
読了日 : 2019年7月26日
本棚登録日 : 2019年7月25日

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