見えざる敵 (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン (2016年5月7日発売)
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感想 : 9
4

(2016.05.09読了)(2016.04.29入手)
400頁ほどある本を読み進み、土壇場で、え~っ!という感じで終わってしまった。
「訳者あとがき」を読むと、三部作の第一巻ということで、第二巻は、2017年5月ごろ刊行とのことです。1年後です。参ったなあ。
どんな内容かも、「訳者あとがき」が上手にまとめてありますので、拝借しましょう。
「ハリウッドで何件ものナイトクラブを経営するイーラ・レッドマンは、経営戦略の一環としてクラブの宣伝係(プロモーター)のコンテストを開催します。応募者に競わせることで客を増やそうと考えたのです。優勝者には高額の賞金が与えられるとあって大勢が応募しますが、選ばれたのはわずか一二人でした。そのなかに、アスター、ライラ、トミーという三人の若者がいました。
アスターは女優になる夢を抱いていて、このコンテストをその足がかりにするつもりでした。クラブには有名人が大勢やってきますから、かれらと知り合いになり、コネを作ろうと考えたのです。ライラの目的は賞金でした。彼女はニューヨークのジャーナリスト養成校に通いたいと考えていて、そのための資金にするつもりでした。また、有名人を題材にしたブログも書いていましたから、クラブに出入りしていればその材料が手に入るのも魅力でした。トミーの夢はロック歌手になることでしたが、コンテストに応募したのはイーラに自分の存在を知らしめることが目的でした。実はイーラは、トミーの父親だったのです。トミーの母親が妊娠したことを知ると、イーラは中絶費用だけを渡して姿を消してしまっていましたから、もちろんトミーの存在は知りません。」(388頁)

コンテストの課題は、どれだけお客さんを集めてくるかということと、イーラのリストにある有名人を連れてくるか、ということです。そのリストにある人物が、マディソン・ブルックスという女優です。マディソン・ブルックスの恋人がライアン・ホーソンでこの物語の重要なカギを握っているようです。
アメリカが舞台なので、ライラ、アスター、トミーたちは、十代なのに、車やバイクを持っていて、乗り回しています。
日本の若者の世界もわかりませんが、アメリカの若者たちも想像できない世界です。そういう意味では、若者たちの世界を覗ける本といえるかもしれません。
アメリカは、移民社会でもあるので、人種の坩堝なのでしょうが、アスターは、イスラム系の厳しい家庭の女子という設定になっています。したがって、アスターにも監視役として乳母がついているのですが、アメリカで暮らしていれば、欲望渦巻く社会ですので、なかなか家にとどまってもおれないのでしょう。物語を読む限り、アスターは、人目を惹く魅力的というか、セクシーなヤングガールのようです。
ちょっと見てみたい感じですが、近くにいたらドキドキしそうです。
物語の終わりのほうで、マディソン・ブルックスが行方不明になってしまいます。事件性がありそうということで、警察が動き出し、ライラ、アスター、トミーとライアン・ホーソンが取り調べを受けています。
この中の誰かが、犯行を行ったのでしょうか、不明のまま第二巻へと続いています。
各章の題名が、英語のままになっており、カタカナで、読みも添えてあるので、訳者が翻訳をさぼったのかと思いながら読んだのですが、「訳者あとがき」によると
「各章のタイトルは有名な楽曲のタイトルを使っています。洋楽に詳しい方にとっては、章のタイトルも楽しみのひとつになるかもしれません。」(390頁)
ということです。
アメリカの若者の世界を知りたい方にお勧めです。
(2016年5月9日・記)
内容紹介(amazonより)
「ゴシップガール」著者、絶賛!!全世界同時発売!! NYタイムズベストセラー作家新作! 恋と裏切り、欲望と嫉妬が渦巻く、青春ガールズ・ミステリー。夢をつかむためなら、どこまで許される?
あらゆる成功をつかめる街、LA。その街で今をときめく“アイコン"、マディソンがある夜失踪した。容疑者はリッチなクラブに出入りする10代の3人――夢を叶えるためにきわどいゴシップサイトで金を稼ぐライラ、自分を捨てた父親を見返したい、アーティスト志望のトミー、厳格な家庭で育てられた女優志望のお嬢様、アスター。マディソンはこの中の誰かに殺されたのか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2016年5月9日
読了日 : 2016年5月9日
本棚登録日 : 2016年5月6日

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