ゴッホがゴーガンと暮らしてからは、“僕は今にも病気になりそうな気持がすることもあったが、ゴーガンが来たのですっかり気分が晴れて、うまくおさまる自信がついた。(p56)”、“ゴーガンは僕に想像で描く勇気を与えてくれる。たしかに想像で産み出したものは、いっそう神秘的な性格を帯びるものだ。(p68)”などと書いており、良い影響を受けているかのように見えました。
しかし、十二月二十三日の手紙には“ゴーガンはこのアルルの町にも、われわれが仕事をしている黄色の家にも、ことにこの僕に、いくらか失望しているようだ。(p80)”となっています。耳切り事件の日です。
事件をきっかけに二人の共同生活は破綻しますが、その後もゴッホは“ゴーガンと作品の交換を続けるのは僕にとって時には高くつくとしても楽しいことだ。(p104)”と書いており、ゴーガンへの変わらない思いが感じられました。
全体的に、ゴッホが“精神的にも肉体的にも健康でない状態にあった(p136)”ことを思い知らされる手紙が多いです。“君の友情がなかったら、たやすく自殺の道に追いやられたろうし、僕がどんな臆病者でもしまいにはそうするかもしれない(p146)”と自身で書いていた通り、ゴッホは最終的に自殺してしまいます。ゴッホの苦悩が伝わってくるようで、読んでいて苦しくなりました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
藝術
- 感想投稿日 : 2017年2月20日
- 読了日 : 2017年2月15日
- 本棚登録日 : 2017年2月14日
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