InDesign CS6で作るEPUB3標準ガイドブック

著者 :
  • 翔泳社 (2012年7月1日発売)
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本棚登録 : 32
感想 : 2
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2015/5/9読了。
InDesignからEPUB3が出力できると聞くと、多くの人が次のように誤解する。
「紙の本のInDesignデータがあればクリック一発でEPUBデータに変換できるのだからEPUBの知識を持つ社員がいなくても電子出版ができる」と。あるいは「InDesignさえ使えればEPUBについて知らなくてもEPUB制作の仕事を受けられる」と。
本書はこのような誤解を正してくれる良書である。
後でEPUBにすることを想定しないで作られたInDesignデータからはまともなEPUBデータは出力できない。想定して作られたInDesignデータであっても、後でEPUBの中身のコードを修正する必要がある。EPUBの仕様について理解している人間が関わるのは必須なのだ。これが現実であり、それは本書の刊行から3年近く経った今でも変わっていない。
本書はこの現実に向き合うための参考書である。EPUBの仕様の基本について、InDesign上で何をしておくべきかについて、そしてInDesignの後で何をするべきかについて書かれている。InDesignをEPUBオーサリングの下ごしらえ用の補助ツールとして使うと割り切れば、本書はEPUB制作ワークフローの一例として参考になる。もちろん電子書籍化を想定したDTPワークの参考にもなる。
ただし、InDesignのバージョンが古いとか細部の説明が足りないとか、そういうことを気にする人にはおすすめしない。どのみち本書に書かれている通りにCS6を使って作業しても、つまり本書をマニュアルとして読んでも、それだけでは汎用的に販売できる商業用のEPUBデータは作れないからだ。そのために必要な情報は本書の外に山ほどあり、本になって刊行されてはいない。
本書を役立てるには、内容から本質を汲み取って実際問題に応用する読み方をしたほうが良い。マニュアルではなく参考書として読むならば、今でも有益な内容だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 実用
感想投稿日 : 2015年5月9日
読了日 : 2015年5月9日
本棚登録日 : 2015年5月2日

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