突如、年末年始一日一冊企画を思いついたので、読みやすそうな作品を厳選!
しかし、全然そんなに読めなかったのである。普通に仕事が始まってしまった!さらには、緊急事態宣言まで出されてしまった!!
随分と読みやすく描写もわかりやすいと思ったら、ラノベでしたか、そうでしたか。
今となってはラノベはアニメ化が待望されたりする日本の文化のひとつのジャンルだけれど、乙一さんがこの作品を描いていた頃のラノベってかなり差別されていたんですね。
あとがきがすごく面白くて。
作品は残虐で残酷な描写が続くのだけれど、それが登場人物の人間性によって重すぎずに描かれているし、その人間性にもそんな意図があったのか!とあとがきで納得。
あと、何が素晴らしいって、視点の描き方。
「夏と花火と私の死体」の時も思ったけど、乙一さんのこの視点の描き方が非常に素晴らしい。なんとなく想像がつきそうな未来を予想しながら読んでいく、その先にある急展開、これまでの世界がひっくり返るその瞬間。
違和感や、奥歯に物が詰まったような言い回しには全て意味があった…!
それが分かった瞬間、振り返っていくとさらにその視点が活きてくる。植物に水を与えるように、さらにとくとくと、文章が身体に染みわたっていくような感覚。文体は何も変わっていないのに、世界が全く変わったような感覚に陥る作品は久々だった。なんか、これを「世界線」て今風の言葉を使って例えようと思ったけど、うまくいきません。
先が気になりすぎて、寒すぎて引きこもっていたわたしの身体は、閉店間際の本屋さんへ向かったのでした。
- 感想投稿日 : 2021年1月10日
- 読了日 : 2021年1月5日
- 本棚登録日 : 2021年1月16日
みんなの感想をみる