4時間の超長編映画、そして園子温。観るのにはなかなかの覚悟がいる。
ステイホームが終わり、ゆるゆるとだけれど取り戻しつつある日常。
これだけ長い映画なのだから、自粛中に観ようとしていたのに、ついつい先延ばしにしてしまって観れていなかった。が、ついに。時が来たね。
昨日は久々の仕事で、だから今日はあんまり頭使わない邦画を観ようと思っていたのだけれど、なぜ今日この映画を選んだのか。それは自分に問いたいところだ。
最近重めの小説が続いたから、本はエッセイに切り替えているのに、いったいなぜ映画でこれを選ぶ?それではエッセイを選んだ意味がないではないか。わたしの心には、重たい作品で蓋をしたい何かが潜んでいるのか、否か。
愛と、愛に隣接する、性と洗脳のお話。実話に基づいているというから驚き。
CHAPTER1で流れ続けるボレロと、予想外のコメディ感に戸惑いつつ、けれど、任侠映画風タイトルバックからのCHAPTER2で、ここからが本番だな、と思わせる演出。主要人物の目線がCHAPTERによって変化していく構成になっていて、うん、どおりで長いわけだ。でもさすが園子温。魅せ方が本当に巧い。流れにメリハリがあって、イッちゃってるシーンと泣かせるシーンと日常のシーンが絡み合いながら、ごうんごうんと、やってくる。そしてそれを徹底的にやるものだから、イッちゃってるシーンは本当に恐ろしい。安藤サクラがやばい。ゆら帝の音楽が、さらに煽り立ててくる。すごい。
正義と正義がぶつかると、自分の正義を相手に伝えてもわかってもらえない。
自分の正義が間違っていた、と気付いた時にはもう遅かったりする。なんという残酷なすれ違い。
宗教は正義の最たるもの。
宗教的なものは人によって自由だし、それを否定するつもりはないけれど、他人を巻き込んで迷惑をかけるのはよくないよなっていうのがわたしの考え方。でもきっと、新興宗教はそうやって大きくなってゆくものなんだろう。
大人たちよ、はき違えた愛を、子どもに刷り込んではならない。
大人の都合に、勝手に子どもを巻き込んではならない。
子どもが大人たちのメッセージをどのように受け取っているか、きちんとそれを見つめなくては。
- 感想投稿日 : 2020年6月5日
- 読了日 : 2020年6月5日
- 本棚登録日 : 2020年6月5日
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