夢売るふたり [DVD]

監督 : 西川美和 
出演 : 松たか子  阿部サダヲ  田中麗奈 
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本棚登録 : 919
感想 : 185
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突然邦画が観たくなって。

ゆったりとした音楽と、都会でありがならものんびりとした田舎を思わせるような空気感で始まる本作品。
夫婦は、大きくはない居酒屋を経営している。常連客やサラリーマンで店内はにぎわっている。
開始7分。世界は一変する。

西川美和監督作品。

ふとした瞬間だった。ほんの少し、目を離しただけ。
夫婦は火事でお店を失ってしまう。

生きてゆくために現実を見て、強くしなやかに生きる妻役を松たか子、
現実を受け入れられずに絵にかいたように堕落する夫役を阿部サダヲが、それぞれ演じている。
しかし、妻は強くしなやかであるだけではなく、したたかさを持っていた。
そしてダメ夫は、馬鹿で素直で嘘がつけないが、愛されキャラだった。
強い妻は、ダメ夫のそのキャラクターを利用し、あることを思いつく。
二人の、再起をかけた、物語。

しかし。

この物語を、夫婦二人の、どんな物語とするか。
それはおそらく、観る側にゆだねられている。
夢を求め、夫婦一丸となって前を向いていこうとする物語か、
妻が夫に、仕返しをしていく物語か、
出来心が少し道を誤ったことによる顛末を描いた物語か、
女の子を嵌めまくる物語か。

もやもやする。これでいいのか感が半端ない。だけど、他に何があったというのだ。
けれど、これら全てが、この物語なのかもしれない。
中でもわたしは、「仕返し」を色濃く感じたかな。

松たか子の絶妙な表情の演技。強くしなやかな印象から、静かな怒りと孤独を抱え、夫を見るそのまなざし。前半と後半で、彼女の印象は変わっていく。
阿部サダヲは、流されつつも自分を犠牲にしてまで誰かのことを想っている感じを上手に演じててはまり役。

最後にタイトルの意味が、どしんと、くる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年2月28日
読了日 : 2021年2月28日
本棚登録日 : 2021年2月28日

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コメント 9件

NORAxxさんのコメント
2021/03/01

naonaonao16gさん
初めまして、こんにちは^ ^

この作品は未視聴ですが、阿部サダさんはーダメ夫否熱きを内に秘めし男ーを演じると右に出るものはいないなぁと感じております。
復讐劇 ヒューマンストーリー 嵌め動画(コラ)その中でnaoさんが感じた「仕返し」
さて、私はどう感じるのだろう///とワクワクしてしまいました⸜( ´ ꒳ ` )⸝♡

いつも想像力かき立てられるレビューをありがとうございます。是非見てみたいと思いました。これからも素敵なご感想楽しみにしております...♪*゚

naonaonao16gさんのコメント
2021/03/01

NORAさん

こんばんは^^
コメントありがとうございます!!

ほんとに、阿部サダヲすごいはまり役でした。「彼女がその名を知らない鳥たち」でも近い役を演じており、その役とも少し重なる部分があるかもしれません。

嵌め動画(笑)
いや、実際詐欺師役だしR指定あるしまさに女の子を(に?)嵌めるんですよね(゚д゚)

NORAさんの想像力をかきたてることができているのは大変嬉しい限りです!
是非また遊びに来てさい^^

そして是非、この作品ご覧になられたら感想教えてくださいね^^

夜型さんのコメント
2021/03/13

こんばんは。

将棋じゃないほうの、映画『三月のライオン』は観たことありますか?
1990年はじめに放映された映画です。
ちょっとnaonaonao16gさんっぽい作品かな、と思いました。

naonaonao16gさんのコメント
2021/03/13

夜型さん

こんばんは!
将棋じゃない方!
全く観たことなかったです、完全にノーマークでした(゚д゚)!
ありがとうございます!探して見てみます^^

しずくさんのコメント
2021/03/22

この作品は未見ですが、阿部サダヲさん松たか子さん出演で、ずっと気になっていました。
レビューを読ませてもらい、断然観ることに決めました!

naonaonao16gさんのコメント
2021/03/22

しずくさん

こんにちは\(^o^)/
コメントありがとうございます!

そう言っていただけて嬉しいです!
是非是非、感想をお待ちしていますね!

しずくさんのコメント
2021/04/07

お約束通り観てレビューをアップしましたよ(笑)!
私は、「仕返し」よりも、「もやもやする。これでいいのか感が半端ない。だけど、他に何があったというのだ。けれど、これら全てが、この物語なのかもしれない」に近い感想です。2人の俳優さんは勿論、西川美和 監督もさすがだと思いました。

しずくさんのコメント
2021/04/09

(こちらにも返信しました)
naonaonao16gさん、御丁寧な返信をありがとうございました。あなたのレビューを読まなければ本作を見逃していたかも。感謝感謝です。
しかもそれほどまでのレビューではないのに、褒めて下さるなんて・・・(汗)。皆さんの感想を拝見するたびに、自分の視力低下や頭脳減退を思い知らされています。私の方こそため息をつきながら、率直な感想を読むのを楽しみにしているんですよ。
最初に結婚詐欺を提案した頃、里子には絶対的な貫也は私の元に戻って来るという信頼と確信があったのではないかでしょうか。器量や気立ても人並み以上で、負けるはずがないという妻の驕りのようなものも。でも、子供がいないというのは不安だったのかも? 子持ちの女性との関係はなりゆきとは云え2人にとって初めて。貫也の子煩悩さを見て心配が膨らんだでしょうね。生理が来て妊娠していないと分った時の空振り感。そこを描写してあるのは、さすがに女性監督。naonaonao16gさんがおっしゃるように、里子がそこを淡々と演じていて、妙に湿っぽくなくからりとした不気味さが好きでした。里子と貫也は夫婦より同志関係に近かった? まあ長年やっていればそんなものですが(は・は・は

>阿部サダヲはどんな未来であれそれを受け入れるでしょうし、松たか子はそれでも彼に執着するのかな、なんて思いました。賢い女性ほど、ああいう男に弱い気がして。

勿論、そういう展開もありそうです。貫也はどんなことがあっても飄々と生きていける男、包丁1本さえあればヒモでも大丈夫!里子もしたたかですが、貫也の持つしたたかさとは異なるような気がしました。貫也は天性のしたたかさで、里子は後天的に備わった人工的みたいなもの。
生真面目で臆病な私は貫也と里子のようなしたたかさが欲しいものです。
「仕返し」がある愛はまだまだ想い合っているかも・・・。

しずくさんのコメント
2021/04/09

上記への返信はノープロブレムよ。

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