緊急事態宣言も東京アラートも解除されて、徐々に外で人と会うことができるようになった。
映画好きの友人と、自粛中に観た映画について話している時にわたしが「観る映画に意図せず新井さんが出てくることが多くて…」と話したところ、この作品を勧められた。彼女は言った、「この映画はね、珍しく新井さんがいい奴役なんだよ!」と。なるほど。
出演者は、堺雅人、山田孝之、新井浩文、綾野剛。
うん、何か不穏なことが起こる気満々な感じ。
加えて、安藤サクラとでんでんも出演している。漂う園子温感。
(※監督は園子温ではありません。)
自粛中は、意図せず新井さんが出てくることが多かったけれど、
自粛後、わたしは自分から新井さんへ当たりにいくことにしたのだ。キラーン!
「凶悪」では、事件を追及して悪を焙り出す、善の役として主演を張っていた山田孝之。今回は、「凶悪」で悪の側にいたリリー・フランキーやピエール瀧のような、暴力で人をどうにかさせようとする側、悪の役だ。それに逆らえない綾野剛、彼らに殺されかける新井浩文。
山田孝之演じる木島は堺雅人演じる健一の妻をひき逃げする。この時、綾野剛演じる小林も助手席に乗っていた。妻のことを忘れられない健一は、木島への復讐を誓う。それを心配している健一の妻の兄(健一にとって義兄)にあたる青木役を演じているのが新井浩文。なんと学校の先生!健一の身体を気遣って「タバコやめろよ」とか言っちゃういい奴。それでも、妹をひき逃げされている過去があるわけで、心に抱えた傷は深い。だから、時折声を荒げたりするシーンは狂気じみていて、新井さんの不穏さがうまく活かされている。
作中で小林(綾野剛)が「平凡でいたい」と言う。
それに対して青木(新井浩文)が「平凡ていうのは、全力で築きあげるもの」だと言う。
この作品は言うなれば「平凡じゃない人たちが、平凡を追い求めるお話」なのかもしれない。
でも実際に平凡が訪れれば、人は退屈になって、自分から平凡じゃないものを作り上げてしまうか、平凡じゃない世界に行きたくなってしまうのではないか。
わたしも、平凡な日常を送っているつもりだった。結婚して、子どもも何人かいて、そんな平凡な生活を送っているつもりだった。誰もがそれを平凡だと思っていたし、誰もが手に入れられる平凡だと信じていた。みんなとっくにその平凡を手に入れた。それがいつのまにか平凡は、自分の手の届かないところにいっていた。その平凡を手に入れた人たちはきっと、全力で築き上げ、全力で守り抜いているのだろう。わたしはいつからか、平凡じゃない生活の方が、どうしてか居心地がよくなってしまった。そして思う、平凡、とは。
無性にプッチンプリンが食べたくなって、けれどあいにく冷蔵庫には入っておらず、
代わりにKALDIで買ってきたベトナム風練乳プリンを食べた。めちゃめちゃ美味しかった。
- 感想投稿日 : 2020年6月21日
- 読了日 : 2020年6月21日
- 本棚登録日 : 2020年6月21日
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