宴のあと (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年7月22日発売)
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本棚登録 : 1860
感想 : 168
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nhk bs の「今夜はトコトン三島由紀夫」を観て再読モード。
まずは「宴のあと」。

うーん、これ大学時代にいきがって読んだが当時わかったとは思えんな、、、
腐敗しまくりの選挙の内幕モノ的に楽しんだのだろうか?記憶がない。

今読むと、人生の終盤戦が視界の彼方に見えてきた中年世代にとってストーリーや描写がピリピリきすぎる。
あえて自分なりにテーマを見つけるなら、「人生の終盤戦で初めて、自分には縁のないと思っていた高みに登れるかも、しかもそこで自分は意味のある役割を果たせるかもという幻影を見てしまった者の狂気とその崩壊」であろうか。

カネよりもなによりも、私は今必要とされている、という感覚。あるいはセンスオブミッションというか、使命感。そうしたものがより人を転落させるのかもしれない。

しかし同時に、その使命感に身を投げ打ったほんの一瞬の煌めきは人生を棒に振るほどの価値がある、というメッセージもいつもの三島由紀夫とも言える。これだけ濃厚なのにふとした描写に爆笑できるところも三島全開。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2021年8月17日
読了日 : 2021年8月17日
本棚登録日 : 2021年8月17日

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