ペルー出身のノーベル賞作家、比較的初期の作品とのこと。
原題は「パンタレオンと女性訪問者たち」といった感じだろうか。
ようするに慰安婦を組織する話なのだ。
文体コメディというか、謹厳実直な将校が上官宛に送る報告書の体裁で描かれる「特殊任務」のユーモアが秀逸。
隊員(女性)たちのいろいろな要求、そしていつしか部隊に対して芽生える誇りと忠誠心。
そしてまさにこの物語の前半があるがゆえに、都合が悪くなると個人を切り捨てる組織の怖さ、そもそも組織に忠誠を尽くす、ということの意味(その愚かさや尊さ)などがよりはっきりと現れる。クライマックス、パンタレオンが行う演説の名場面ぶりはすさまじい。そしてあまりにもやるせない結末になぜか希望の光が指すのもいつものリョサ。
表面的な加害者、被害者の図式のはるか先に著者の目は向けられている。
いつもながら、すごすぎる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2019年1月1日
- 読了日 : 2019年1月1日
- 本棚登録日 : 2019年1月1日
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