日本軍は悪、の結論ありき本。
東京裁判はねつ造、の自虐史観批判本。
もちろん本書はそのいずれでもない。
著者が「殺人犯はそこにいる」の清水潔氏であることで、クオリティは読む前から保証されているようなものだ。
私は自国の歴史に何であれ誇りを持っている、だが、というか、だからこそ、少なくとも清水氏が突き止めたような残虐行為が日本軍の手で、南京で、組織的に行われたことは、日本人として痛恨ではあるが認めざるを得なかった。
慎重に補足するならば、「非戦闘員を含む30万人」の被害という主張を裏付ける本ではない。しかし自らの兵站さえ確保できなかった日本軍が、大挙して投降してきた中国兵捕虜2万人を管理しきれなくなった結果、許しがたい方法で「解決」を図ったことは客観的な証拠から明らかにされたとみていい。捕虜が暴動を起こしたから、という「ねつ造説」定番の主張も丁寧に反証されている。
戦争中、もちろん相手もとんでもないことをやっていた。だが、我らの祖国も他国でひどいことをした、その事実も動かない。
どちらについてもなるべく正確に知りたい。それに尽きる。
読書状況:読み終わった
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2019年3月10日
- 読了日 : 2019年3月10日
- 本棚登録日 : 2019年3月10日
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