女性警官が事件を解決!というとまるで2時間ドラマのようなスッキリとした後味を想像するかもしれない。だが本書はミステリーというよりも企業小説のような味わいを持つ。
そこでは男社会である警察で、抱いていた初々しい正義感や夢をすり減らして行く一人の若い女性の日常が描かれている。なかなかに重くてしんどい話で、これを男性作家が書いたというのに驚かされる。
同じ「D県警シリーズ」の「64」では、男たちがそれぞれの信義を貫く姿に熱い感動を覚えたが、本書を読んだ後では、脇で花を添えていた女性警官美雲が「いいよね、男は」と皮肉たっぷりに呟く姿が見えたような気がした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年10月29日
- 読了日 : 2019年10月6日
- 本棚登録日 : 2019年10月6日
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