ヒロシマ私の恋人 (ちくま文庫 て 3-1)

  • 筑摩書房 (1990年5月1日発売)
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本棚登録 : 36
感想 : 2
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恐怖を恐怖によって伝えるのではなく、ひとつの忘れがたい恋愛のなかに恐怖を刻み込むことによって、その恐怖を伝えるというこのテクストは、単なる反戦小説ではない。反戦思想では、「反戦」という道徳が絶対的な価値として君臨しており、あらゆるものはその秩序のうちに配置される。記憶することは善であり、忘却することは悪である。こうした見方から離れることができないかぎり、このテクストを読むことはできないと思う。また、映画もいいけれど、終盤のまさに言葉でしか描くことができない、キャラクターの別人化・二重化はテクストが表現できることの可能性を突き詰めている。デュラスのなかでも特に好きな作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 フランス
感想投稿日 : 2011年1月16日
読了日 : 2011年1月16日
本棚登録日 : 2010年5月6日

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