夢野久作全集 8 (ちくま文庫 ゆ 2-8)

著者 :
  • 筑摩書房 (1992年1月1日発売)
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本棚登録 : 261
感想 : 23
4

新鮮な当て字が横溢していてなかなか面白かった。

・「瓶詰地獄」
先に読んでしまったからか、初読時の衝撃は蘇らず。
時系列が間違っていると言う指摘があるが気にならなかった。
もし三通の手記が偽物だったらと考えた方が遥かに悍ましい。
・「一足お先に」
結局は全部が夢だったのか。
・「狂人は笑う」
「青ネクタイ」や「崑崙茶」と言ったアイテムが妄想に取り入れられている点が絶妙に良かった。
・「キチガイ地獄」
話が随分巧妙だなと思っていたら新聞記者Aだったと判明し納得した。
彼にとっては壮大な虚構物語を築き上げるのが半分趣味みたいなものではないか。
・「復讐」
品夫の計画通りだったとしたら相当怖い。気絶したのも演技だったのだろうか。
・「冗談に殺す」
完全犯罪を遂行しようとしてもそう上手くは行かない。他人の目から見れば明らかに異常に映っているのが分かって何とも滑稽だった。
・「木霊」
頭の中から自分の声に呼び掛けられるなんて現象は未体験だが、現実に起こり得そうなので怖かった。
罪悪感に責められて身の破滅に向かって行く思考が悲しかった。
・「少女地獄」
良い年の男性が少女に騙される二編、若い女性が殺人鬼の男性に騙される一編。
「何でも無い」は、虚言癖を持つと災禍を招きかねない事態に陥る事を感じた。
彼女自身でもどうしようも出来なかったのだろう。
「殺人リレー」は普通に現代でも有りそうな話だった。
「火星の女」は、歌枝の強靭な復讐心が伝わって来た。
しかし一方で、偽善者の森栖校長に愛情を感じていたのが不思議だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年4月9日
読了日 : 2019年4月9日
本棚登録日 : 2019年4月6日

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