ぼんくら(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年4月15日発売)
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本棚登録 : 5672
感想 : 384
4

面白かった。
「長い影」の最後の10ページほどに、この物語で訴えたかったことが凝縮されているように思える。
「この世の中に、どんな『本当のこと』があるのでしょうね?」というセリフが意味深だ。
うそをうそのままにし続ければ「本当のこと」になる。
うそをうそのままにし続ける難しさ。そのために利用され翻弄される長屋で暮らす人達。これがこの物語の肝だ。

役人脳の平四郎と科学者脳の弓之助の会話も秀逸だし、平四郎のぎっくり腰になった理由が女房にばれているくだりもいい。

そして、最後の「幽霊」という短編に出てくる謎の女。誰なのかは想像できる。
どうやらシリーズ作『日暮らし』への伏線でもあるらしいので、勢いで読み進めることにしよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: *宮部みゆき
感想投稿日 : 2020年5月5日
読了日 : 2020年5月4日
本棚登録日 : 2016年7月8日

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