0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる

  • ダイヤモンド社 (2015年2月14日発売)
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感想 : 220
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「0ベース思考」とは、何とも堅苦しいタイトルですね。
以前読んだ「ヤバイ経済学」の著者だと気が付かなかったらスルーしていました。

原書のタイトルは、"THINK LIKE A FREAK"だから直訳すると「フリークのように考える」になります。
フリークという言葉は日本人にはピンとこないから、フリークのように考えて「0ベース思考」にしたのでしょうか。

タイトルの堅苦しさとは別にどこか遊び心があり、力を抜いて時々二タニタしながら楽しく読み進められました。

コブラの大量発生に困り、コブラの皮を持ってきた人に懸賞金を出すことにした。
これでコブラを減らすことができると思いきや、この懸賞金というインセンティブはとても効果があり、コブラの大量発生は加速した。
懸賞金目当てでコブラの養殖業者が生まれたのだ。
みたいな話が満載です。

人は「操られている感」を覚えると反発したくなる。
どんな問題も一発で解決できる魔法のやり方なんかない。
ちょっと違うやり方で、もうちょっと真剣に、もうちょっと自由に考えようということ。
この本には、どのように考えるかのヒントが沢山あります。

高いワインは美味しいか?ワインの目隠し試飲実験でわかった優秀賞を貰う秘訣の話。
ホットドッグの早食いで一気に昨年優勝者の倍の量の食べ方を考えた日本人(小林尊)の話。
自らビーカー1杯のピロリ菌を飲んで胃潰瘍になることを実験したノーベル賞医師の話。
他人のウ〇コを浣腸で注入し潰瘍性大腸炎を治療する話。

聞く耳を持たない人を説得するには?物語を語るのがいい。この本がそうだと言って上記のような話をしたのだと最後の方でばらします。

そして、最終章は「やめる」ということがテーマです。
仕事でも勉強でも運動でも趣味でも何でも、「しない」ことと「やめる」ことを決めることは難しいと感じています。
多くの人がやめるべきことを続けています。
やめることは失敗を認めることになるからです。
もう1つの要因が「サンクコスト」で、取り返しのつかない時間・お金・労力が無駄になることを避けようとあがくのです。
いつ手を引くかの判断は、永遠の課題です。
そして、さっさと安く失敗するのが理想だとも言っています。
失敗に数千万ドルつぎ込む前に、数万ドルで終わりにできれば、ずっと多くの事をするチャンスができる。
なるほど、やめることによって別の何かができると考えるのですね。

やめた方がいい結果になる具体的な証拠はあるか?に対しては、
達成不可能な目標を断念した人たちは、無理してやり続けている人たちより身体的、精神的に良い状態にあることがわかったそうです。
やめなくて良かったこともありますが、やめて良かったと感じることも数多くありストレスから解放された記憶は残っています。

「やめる」を「捨て去る」と言い換えると前向きな気持ちでいられていいようです。
自分を押しとどめている一般通念を「捨て去る」と確かに世界が広がるように思えます。
「いろんなことをやめた経験を重ねるうちに、何を捨て去り何を残すかを見極めることができるようになる」は、そのとおりでしょう。

この本を読むと、自分の頭の固さを見透かされたような気分になるに違いありません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思考
感想投稿日 : 2020年8月26日
読了日 : 2020年8月26日
本棚登録日 : 2020年8月12日

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