奇想、天を動かす―長編推理小説 (光文社文庫 し 5-20)

著者 :
  • 光文社 (1993年3月1日発売)
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本棚登録 : 1130
感想 : 112
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舞台は平成元年春、ボケた浮浪者が導入したばかりの消費税3%を巡って店員ともみ合いになった末に刺殺した――と週刊誌をしばらくの間だけ騒がして終わりと思われた事件は、薄皮1枚1枚剥がした先に昭和三十二年に起きた北海道の列車内の怪事件と繋がっていく、と言うストーリー。はじめチョロチョロ中パッパ、中盤で提示される5つの事件はまさに奇想天外。

犯人は冒頭で現行犯で捕まっており、これは最後まで覆ることはない。よって平成の刺殺事件の動機と昭和の事件のトリックがメインの謎として描かれる。ピエロの死体消失トリックは(これ金田一少年の某事件を彷彿させるなぁ…)と思ったらまさにその通りで占星術に続いてやってくれた喃キバヤシ…。

前知識ほとんどゼロで読んだのだが消費税、冤罪、強制連行など令和元年の今現在もタイムリーな話題がいくつか含まれていて何やら奇妙な縁を感じた。昭和が終わり平成も過ぎてもまだ終わらない悲しみと怒りが根底に残っている。あと出番はほんの数ページだが昭和の腐った警察のヘドロの塊のような便山のインパクトは絶大だった( ゚д゚)、ペッ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2019年7月19日
読了日 : 2019年7月18日
本棚登録日 : 2019年7月19日

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