「確定拠出年金」最良の運用術

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  • 日本実業出版社 (2014年5月22日発売)
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岡本和久

1,収益目標=購買力の維持+α
正しい資産配分率(アセットアロケーション)
全世界の株式インデックス
物価連動国債
2,確実に収益率をアップする
非課税制度の活用(アセットロケーション
3,さらに収益率をアップする
積立投資(バリュー平均法)

デフレ期は預金だけでも円の価値があがるが、インフレ期は逆。
インフレターゲットを決めた理由は過去の国の借金(国債)を実質的に減らすため。
メディアが(財務省から)よく言う「国の借金は国民一人ひとりあたり○○円」は間違い。日本国債保有者の9割は日本国民(直接保有は2%くらいだけど、間接保有している)なので、正しくは「国民一人ひとりあたり○○円を政府に貸している」となる。
上に政策あれば下に対策あり。鵜呑みにするな。

単純にインフレして国の借金が事実上減り、給与も上がって景気回復して税収上がればベストシナリオだが、現在は「増税+マイルドインフレ」が進行している。とどのつまり、民間部門にじわじわ負担を強いるような政策であることを理解すること。

長期・分散投資をすべき。

タイミングを見計らうのではなく、これから長期的に分散投資する、ということを決めたらいつ始めても同じなので、できるだけ早くスタートすべし。

確定拠出年金は税引後投資額が100%で、受け取り時に課税されるものの、公的年金等控除が利用できるので、実質非課税に近い。総額上限なく非課税運用していける。デメリットは受け取りが60歳以降となること。
NISAは税引後投資額が90%(所得税が10%だとして)で、受け取り時の課税はないが、年間100万、総額500万までしか運用できない。ここがデメリット。

確定拠出年金用の投資信託商品の運用管理手数料は、一般用よりも低くなっている。同じ内容でも。

投機 ギャンブル
投資 短期・長期
資産運用 資産形成・資産活用

トレードオフ=虎穴に入らずんば虎子を得ず=No Free Lunch=あちら立てればこちら立たず

インカムリターン=配当金や分配金
キャピタルリターン=値動きによる収益(プラ・マイ)
合わせてトータルリターン

株式
トータルリターンは極めて大きく変動する。
定期預金
トータルリターンは事前に決まっている。
債券
トータルリターンは株式と定期預金の中間といえる。

リスク=不確実性さ、ブレ、変動しやすさ

72の法則
元本を2倍にするために必要な金利や期間の式
金利(%)×年数(年)=72

10年で倍にするなら
A×10=72
→A=7.2%

30年で倍にするなら
A×30=72
→A=2.4%

金利5%で倍にするなら
5×B=72
→B=14.4年

金利0.5%で倍にするなら
0.5×B=72
→B=144年

投資の成果の9割はアセット・アロケーションで決まる

日本株式インデックスだけを選択するのはパッシブではなく極めてアクティブな運用。世界中のインデックスにふらないと、パッシブとは言えない。日本という狭い井戸しかみる運用は避けるように。

投資信託にかかるコスト
・購入手数料
・運用管理費用
・売買手数料

アベノミクスのオフィシャルスタンスは「景気を回復させると同時にマイルドなインフレにしつつ、異次元金融緩和は継続する」

実質金利マイナスを長期化させる目的は、国債発行による利子返済負担を増やさないため。国債を発行したいけど、金利上昇して利払い負担が増えたら財政赤字が悪化して元も子もない。

★物価連動国債!
インフレ期は現物持っているほうがよい。不動産、金。また、それに連動する投資信託REATなど。
デフレ期は金利払いされるもの持っていたほうがよい。債券。
でも、消費者物価指数(CPI)に連動する物価連動国債なら、元本償還金額がCPIにあわせて連動されるので、インフレ期でも大丈夫。

アセットアロケーション
株式比率は100-年齢
35歳なら株式比率は65%
というのが基本だが、以下提案。
50半ばまで(株式80:債券20)
70ばまで(株式50:債券50)
70以降(株式20:債券80)

確定拠出年金の運用先として3つ以上にふりわけ、うち1つは元本確保型の商品とすべき。
・リスク性資産(株式、投資信託)
・元本確保型(預貯金、公社債、金銭信託、貸付信託、保険商品)

GPIFの中期計画に採用されている資産別の期待リターン
https://www.gpif.go.jp/operation/pdf/unyoujoukyou_h29_15.xlsx
これを参考に、ポートフォリオを組む。

モデルケース
30代 月3万円 年36万円積立
40代 月4万円 年48万円積立
50代 月5万円 年60万円積立
60代 月6万円 年72万円積立
66歳から年180万円引き出す
株式期待リターン5%
債券期待リターン2.5%
50半ばまで(株式80:債券20)期待リターン4.5%
70ばまで(株式50:債券50)期待リターン3.75%
70以降(株式20:債券80)期待リターン3%
→30歳からスタートすると、資産額ピーク約3700万円65歳で、100歳の時に残高100万円。

株式の比率は
日本株式1:先進国株式8:新興国株式1
投資信託ならインデックスで、株式取引ならETFでいけばよし。

債券は物価連動国債で。

アセット・ロケーション
個人が持てる口座は四種類
・課税口座(銀行、証券)
・確定拠出年金
・NISA
・財形貯蓄

★人生を通じた資産運用プロセス
1、投資環境の把握
・個人的環境
・長期的市場環境
2、運用基本方針(投資方針書)
・アセットアロケーションの決定→基本ポートフォリオの選択(積極型or成長型or安定型)
・アセットロケーションの決定(課税口座、確定拠出年金、NISA、財形貯蓄)
3、投資対象の選択
4、取引執行
・売買の発注
・積立
5、管理
・モニタリング
・リバランス

再掲
「確定拠出年金は税引き前所得から拠出できる」
確定拠出年金は収入がそのまま拠出金になるので、非課税のまま100運用することになる。
「NISAは税引後所得からの投資となる」
NISAは運用収益が非課税だけども、所得税分引かれたものを運用することになる。所得税が10%なので90運用となる。

ドルコスト平均法が基本。
この方法では、増減の波があれど、最終的に上がっていることが勝つ条件となる。これにならうと、グローバル株式インデックスやETFにいきつく。その理由は、
・世界は資本主義社会であり世界中の企業により支えられた世界である。株式投資によりそれらの生産設備を保有することは購買力維持の観点から効果的である。
・世界経済は今後も拡大していくことが予想される。
・外国企業は日本企業よりも収益率が高い
・外国大手企業は株主を尊重する
・株価面での最大限の分散効果が得られる

結論として、いちばん大切なのは、「何を買うか」である。それは、グローバルな株式インデックス投信かETFという答えになる。

資産運用における3つの魔
無知→恐怖→欲望

バリュー平均法はドルコスト平均法からの発展版。
バリュー経路として、全体の投資額とタイミングを考慮して定期的に積み立てる金額を設定し、そのタイミングごとの時価総額にあわせて差額を投資、あるいは売却する方法。四半期に一度、手作業での購入がオススメ。

投資信託が保有する企業の価値が増殖していけば、株価は実体価値にいずれ追いつく。

資産運用とは、人生を通じて金融資産全体をできるだけ安定的に、最終的に目標とする金額に到達できる可能性を常に最大化するプロセスである。

モニタリングは年末年始、ゴールデンウィーク、夏休み、その他どこかで年4回。

リバランスは、配分比率を定めたとおりに戻すことなので、本来なら上がった方を売却して、下がった方を買付て調整する。が、積立の場合は、多くなりすぎた方の買付を減らして、少なくなった方の買付を増やす。で良い。

★「投資方針書」を書こう。

バリュー平均法のためのリザーブ口座を確定拠出年金のロケーション内に設けておくことはできるのか?

直接金融は自分で株式や投資信託を買付て運用すること。
間接金融は預金預けた先の銀行がリスク取って運用すること。
簡単にいうと、そのリスクと取る分利ざやを取られていることになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年1月16日
読了日 : 2019年1月16日
本棚登録日 : 2018年12月12日

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