お江戸でござる (新潮文庫)

  • 新潮社 (2006年6月28日発売)
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本棚登録 : 495
感想 : 42
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NHKの人気番組だった「お江戸でござる」で取りあげた、「おもしろ江戸ばなし」をまとめたもの。
テーマ別に分かれていて分かりやすく、しかも杉浦日向子さんが江戸の側から語ります。
面白くないはずはないでしょう?
漫画家さんでもあった方なので、丁寧な挿絵も入っています。

近頃の江戸ブームの根拠はなんなのか、皆目分からないので想像するしかないのですが、政情への不安によるところが大きいのではないでしょうか。
過去をひもといて、何かしら日本人の美点を再発見したいような。。
この感想を書いている今は2010年2月末。鳩山政権のまっただなかです。
そのあまりにも信頼のおけない対応ぶりを笑われて、影では「民主党、与党になれば自民党」などとはやされています。

世界最大の都市だった江戸は、大変エネルギッシュな街だったようです。
食いはぐれることもなく、地方から出て来てもお国訛りを笑われることもなかったと言います。
かといって今更江戸には戻れませんし、今より不便で貧しいのは誰しも我慢出来ないでしょうね。
でも真似られる部分はあるのです。
使える者は最後の最後まで使うという知恵、何よりも、介護も育児も街ぐるみで負担しようとするところは、一番見習いたいところです。
福祉やボランティアなどという言葉こそ無くても、力のあるひとは力を貸し、お金のあるひとはお金を出した。恩着せがましくなくそれが出来たということは、そういうことが当たり前だった時代ということです。

ちょっぴり羨ましいですよね。ちなみに、老人は「生きた図書館」として丁重に扱われたのです。
ヨーロッパ文化に心酔するあまり、「フェルメールがこの絵を描いていた頃、日本はまだちょんまげに刀だった」などと、いかにもアジアが野蛮で遅れた地域だったように見下すひとがいますが、とんでもないことです。世界で一番すすんでいたのが、平和と協調を最優先していた江戸なのです。

岡っ引きとご用聞きの違い、実はプロジェクトチームで作られていた浮世絵、女性にモテたのは「力士・与力・火消し」だったとか、目からウロコの楽しい知識ももりだくさんですよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2010年2月26日
読了日 : 2007年2月26日
本棚登録日 : 2007年2月26日

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