「似ていることば」の約2年後に刊行された本。
レビューにも載せたが、「シャベルとスコップは、東と西では違うものを指す」というコラムが好評を呼んだため、本書が続編で出されることになったそうだ。そんなことがあったなんてね。
掲載されたものは全部で34点。
違いの分かりやすい写真は、全て本書のための撮りおろしだそう。
東西の違いというと、何を真っ先に思い浮かべるだろう。
比較的良く知られているのは、ひな人形の顔と並び方。
あとは、桜餅やぜんざい、おでんやちらし寿司、いなり寿司などの食べ物関連かと。
個人的には、タマゴサンドイッチの違いを知った時は軽い衝撃だった。
東はゆで卵をつぶしてマヨネーズで和えたもの。
西はスクランブルだったり、焼いた卵をはさんであったり。
作ってみたらそれぞれの美味しさがあるので、今は両方作っている。
食欲という名の好奇心もあって食べ物は受け入れられやすい、かな。
中には変えようもないものもある。
東の環状線(山手線)と、西の環状線(大阪環状線)。
バスの乗降口。(前乗り・後ろ降りが東、西はその逆)
カラフルな東のタクシー。黒が主流の西のタクシー。
湯舟が奥にある東の銭湯。中央にある西の銭湯。表紙画像がそれだ。
東のコマは木の心棒で、西のコマは鉄の心棒。紐の巻き方も逆。
コマ遊びをしたことがないので、写真でしか知ることが出来ない。残念。
ダルマも違う。東は黒目が入っていない。西は鉢巻きをしている。
江戸扇子は骨が15本だが、京扇子は35本もある。
線香花火も違うなんて、知らなかった。東は紙製。西は藁製。
驚いたのは、神社に鎮座する狛犬の尻尾。これも違うらしい。
東は左右に流れるような形が多いが、西は上を向いている。
皆さん、お出かけの際は確認してみて。
話の切り口になって楽しいが、くれぐれも優劣をつけないようにね。
と言うのは、東の人間が食す白いネギのことで西のひとに皮肉られた過去があるのだ。
「私らは美味しいとこだけ食べるんやけどね」
・・東は薬膳。西は滋養として食すという歴史があるそうで・・
東西の違いは文化の違いであり、それぞれの歴史の違い。
守ろうという意志を持ったひとたちは今も連綿と存在している。
東の屋根と西の屋根の違いなんて、映画のような美しい風景が載っている。
楽しみながら違いを知り、楽しみながらその意味を考えるのがこの本のねらいだ。
最後にあとひとつ。縄文土器の東西の違いもあった。
立体的な飾りがあって派手なのが東のもの。
形と文様がシンプルなのが西の縄文土器。もちろんちゃんと理由がある。
全国の縄文土器が一望できる「国立歴史博物館」には行ったことがあるにも関わらず、思い出すのは庭の栴檀の巨木ばかり。
見事な枝ぶりで、近寄ったり離れたりと一時間くらい眺めて過ごした。
皆さんはちゃんと縄文土器を見てきてね。
- 感想投稿日 : 2020年9月11日
- 読了日 : 2020年9月11日
- 本棚登録日 : 2020年9月11日
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