そらいろのたね

  • 福音館書店 (1967年1月20日発売)
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本棚登録 : 4088
感想 : 277
4

なかがわりえこさんと、おおむらゆりこさんの名コンビによる有名な作品。
今更と思いながら読んでみました。
大人の目線で漫然と読むのと「読み聞かせ」に使おうとして読むのとではまるで違います。
子供の気持ちになってみると、まぁ面白いこと。

ゆうじは、自分のおもちゃのひこうきとキツネが持っているそらいろのたねとを交換します。
庭に植えて水をやっていたら、小さなそらいろのおうちがはえてきました。
おうちはどんどん大きくなって、最初はひよこさんが入ってきます。
次に猫さん。それから、豚さん。
それでもどんどん大きくなって、ゆうじの友達が入ってきます。
それでもどんどん大きくなって…
とまぁ、この辺はわくわくしますね。
いろいろな動物やたくさんの友達、みんなが一緒に入れるおうちなんて夢のよう。
どの窓も開いていて、みんなの顔がのぞいている場面などすごく楽しそうではありませんか。

ところがキツネさんが戻ってきて話は変わってしまいます。
僕の家だからみんな出て行って、と言うのですね。
そしてキツネさんだけが住んでいるのに、出入り口も窓も全部しめてしまうのです。
ところが、おうちがどんどん変化します。。ここもどきどき。
キツネさんの思う通りにはなりませんが、目を回してひっくり返ってるというラストも、ちょっぴり笑えます。

「ほらね、ひとりじめはダメですよ」なんて教訓を垂れるかどうかはそれぞれの自由。
でも、たねからおうちが生えてきてみんなが住めるようになるっていうのは、素敵でしょ。
さすがの、なかがわさんなのです。
それにしても「たね」はどんな「たね」だったのでしょう?
イラストには出てこないので、想像してしまいます。
キツネさんも、おうちが生えてくるなんて知らなかったようだし、不思議ですよね。
ひょっとして「そらいろのたね」は、植えたひとの夢を叶えるものだったのかしら。

ひそかなお楽しみもあります。
大きくなっていくおうちに「ぐりとぐら」もやって来ますよ。
おおむらゆりこさんが特別友情出演させてくれたのですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本・春
感想投稿日 : 2010年3月10日
読了日 : 2010年3月10日
本棚登録日 : 2010年3月10日

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