感傷(センチメンタル)の面を被った自我(エゴ)の塊。
結局最後、主人公は恋人を救うのをやめる。選択(過去の書き換え)を放棄して、それを最善と勝手に決めつける。(それが意図したものでなかったにしろ)散々他人の人生を弄んだ挙句に、だ。
人生は選択に満ちている。選択するということは、同時に他の選択肢(可能性)を消去している。「もし○○したら××するかもしれない」という無数の可能性を捨てることによって、人は前に進むことができる。
けれども、主人公はその切り捨てた筈の可能性を何度も取り替えた末、救うつもりだった恋人との出会い自体をなかったことにする。いたずらに神様ごっこを興じ最後にはすべてリセットにして、また別の人生を歩む。選択することを放棄したことを「選択」したと思い込んでいる。この物語のどこに感動し、この主人公のどこに共感することができるのか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2010年2月19日
- 読了日 : 2010年2月19日
- 本棚登録日 : 2010年2月19日
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