蝉しぐれ (文春文庫 ふ 1-25)

著者 :
  • 文藝春秋 (1991年7月10日発売)
4.13
  • (931)
  • (646)
  • (583)
  • (21)
  • (7)
本棚登録 : 5125
感想 : 657
4

ちょっともうー、勘弁してくださいよ。
我々インターネッティング世代の20代男性ともなると、時代小説とか「あー、ちょっと自分ら和風とか無理なんで(笑)」とか言いながらスターバックスでMacbookAirとかをこれ見よがしに触っちゃうわけじゃないですか。まあそんなことはしたことないんだけど、イメージ的にそんな感じだし、そうありたいという憧れは秘めてるわけじゃないですか。

で、そんな感じで斜に構えつつも、たまにはまあシャレでこういうのもね、的なテンションで本作を読み始めると、これがまあ面白いし、やめられない止まらない状態。一気に読みきってしまいました。

なぜジョブズの申し子たる僕が、こんなに本作を楽しめたのかというのを分析してみると、時代小説ではあるもののジュブナイルであったり、成り上がりストーリーであったり、そういう男心をくすぐる要素がふんだんに散りばめられており、またそのフォーマットをなぞっているからなのかなーとか思ったりしました。

あと、これは誰しもが思うのでしょうが、逸平っていうキャラがいいよね。やっぱりこういう、ちょいワルだけどいいヤツの親友ポジションのキャラクターには魅力を感じてしまいます。

それに、主人公のひたすらストイックなところも、現代日本人がとう忘れてしまった心が感じられて良いんですよね。家を重んじ、父母を尊び、そして己には常に厳しく繰り返される鍛錬の日々。こうだよ! やはり男子たるものこうじゃないと!!

そんな憧れの気持ちを主人公に抱きつつ読み進めていたのですが、嫌悪を抱いていたはずの不道徳な男女の交わり的なものを、わりとあっさり自分に許してしまうシーンがあったりしたので、人間の本能やべえってなりました。

あと全然関係ないけど、僕はもうすぐ30になるしApple製品はなにも持っていないので、最初のほうに書いているのは大体全部ウソです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2013年1月24日
読了日 : 2013年1月24日
本棚登録日 : 2013年1月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする