世間のウソ (新潮新書 99)

著者 :
  • 新潮社 (2005年1月1日発売)
3.20
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本棚登録 : 428
感想 : 65
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1+1=2のように単純な世界だったら問題は起きないだろうし例え問題が起きても簡単に解決できるとは思うのですが、僕たちが生きている世界はもっと複雑で難解で、著者が言うような解決策(一言居士)を採用しても、また他の何か別な問題が出てくるんではないのかと思うんです。
リスクをめぐるウソ、事件をめぐるウソ、子どもをめぐるウソ、値段をめぐるウソ、制度をめぐるウソ、多方面に渡る分野の欠陥を指摘していて、感心するところもありますが、他方で当事者と第三者、受け手と送り手、主観と客観、古参者と新参者のように、様々な利害関係や協力関係、対立関係が複数あるから、妥協点を見出だすのがベターなのかなぁと思います。
もちろん、著者の解決策を否定しているわけでは決してありません。こういう姿勢は大事だとは思いますが、もっと大きな視点から、『問題解決が新たな問題が起きる』ように、僕たちはいたちごっこの輪から逃れられないのか……と、そっちの方に関心があります。
部活動について、著者は『他国では見られない制度であり、廃止すべきだ』と言っていますが、他国は他国で別問題が浮上しているはずだし、何かしらの欠陥があるのはやむ無しなのかも知れません。あとは許容範囲かどうかの問題で、許容できる人と許容できない人との溝をどう埋めていけば良いのか……。
僕の評価はAにします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年3月25日
読了日 : 2016年3月24日
本棚登録日 : 2016年3月25日

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