高校の部活、きつい練習、恩師、部内恋愛、挫折、他校のライバルたち、そして天才の幼馴染と最高のチームメイト。話の内容は、ベタな青春スポーツ小説です。なにも捻っていません。ですが、いままで読んだ小説のなかでも指折りの面白さでした。
陸上短距離というスポーツを題材に物語を書くのは、とても難しかったのではないかと思います。さまざまな球技と違って競技自体が一瞬で終わってしまうので、試合の面白さを伝えるのが難しいからです。事実、この小説でも、ラストの4継南関東決勝ですら2ページ半くらいの分量でしか書かれていません。
むしろしっかり書かれているのは、試合前の緊張感だとか、日ごろの練習に対する考え方だとか、チームメイト(特に連)に対する気持ちだとか、レース後にタイムが少し上がった喜びだとか、そういう面だったように思います。新二たちのようにインターハイに出る実力がなくとも、部活などでスポーツ(吹奏楽とかもそうかも?)をやったことがある人たちなら、誰もが一度は抱きそうな「等身大の高校生」が書かれているように感じました。それはもう感情移入しまくりましたよ、えぇ!(笑)
守屋先輩の引退、谷口の地区大会3000m決勝、マイル県決勝、4継南関東決勝、どのシーンでも泣いてしましました^^;
真剣に頑張っている姿を見ると応援したくなるし、自分も頑張ろうと思えるようになります。
自分も頑張ろう、と思わせてくれる、そんな小説でした。
「楽しみだ。神谷新二は、どんなふうに走れるだろう?」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年6月15日
- 読了日 : 2013年6月14日
- 本棚登録日 : 2013年6月14日
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