ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)

著者 :
  • 筑摩書房 (2007年11月6日発売)
3.69
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本棚登録 : 2295
感想 : 278
5

自分のこれからの人生をどうするべきか。
それを考えるにあたって非常に大事なヒントを与えてくれている、そんな本でした。

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※学習の高速道路の先の渋滞について
大渋滞の先でサバイバルするには、大渋滞を抜けようと「高く険しい道」を目指すか、大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降りて道標のない「けものみち」を歩いてゆくかその二つの選択肢があると私は思う。そのどちらの道を目指すにせよ、自らの「向き不向き」と向き合い、自らの嗜好性を強く意識し(それが戦略性そのもの)、「好きを貫く」ことこそが競争力を生むと私は考える。
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なるべく早い時期に「好き」の核さえしっかりと認識できれば「自分にあった高速道路」を選択でき、大渋滞の程度がひどくない高速道路を選べるかもしれない。「好き」の郷土が強く才能に地震がもてれば「高く険しい道」を究めていけばいい。大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降り、自らの複数の嗜好性を意識的に発見しながら「好き」の複合技で「けものみち」を歩んでいくのもいい
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⇒ここで気になったのは、梅田さんはもはや「高速道路をのんびり走る」人はこの話の外に置き去りにしている、という点。普通の人、たいした目的もなく走っている人は、高速道路なのに30kmくらいでのんびり走り、渋滞までたどり着くことがないんじゃないかと思います。この話で対象となっているのはそんな人ではなく、150kmくらいでかっとばすことを意識的にやっている人が、渋滞にぶつかったらどうするか、という話。
⇒私は今の自分は「150kmくらいでかっ飛ばしたいけど、どの高速道路を走るか選びかねている」状態だと認識しています。まずは、「好き」の核を見つけなければ、走ることができない。エネルギーがあまってしょうがない。本当に150kmを出せるのかは、知らないけど、気にしない。走ればわかる。
⇒そして、次にくるのが「高速道路」か「けものみち」かの選択。高速道路は一芸に秀でて渋滞を抜けるということ。けものみちは自分の複合的な能力を生かして、誰も進んだことのない道を探して進むこと。

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※オープンソースの成功と失敗の違いについて、まつもとゆきひろ氏曰く
「成功するかどうかは、人生をうずめている奴が一人いるかどうかですね」
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⇒少し前まで、オープンソースは誰でも気軽に参加できる「軽い」もの、そしてそれでも成功できる。と考えていました。しかし、ここに書いてあるように、本当にそのオープンソースを成功するためには人生を賭けるという「重い」ものが必要なんだと、最近は考えています。そして、これはオープンソースに限らず、社内のプロジェクトでも、mixiのコミュニティでも、みんなで何かをしようというときには必ず必要なことなんだなとも思います。ひとり、それに賭けている人がいて、その人が魅力的だからこそ、「軽く」手伝ってやろう参加してやろうという気になる。
※正直これは普通の人ならみんな感じていることなのかなぁとも思います。けど、根本的に「一人」を好む自分はあまり体感したことがありませんでした。反省。

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若者のキャリアについて私と話をしていたときにロジャーは「若者はバンテージ・ポントに行くべきだ」と言った。「バンテージ・ポイント」とは「見晴らしのいい場所」という意味。その分野の最先端で何が起きているのかを一望にできる場所のことである。
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⇒前職が小さなWeb制作会社、今は日本のWebを代表するサービスを運営する会社。この2つの会社で一番違うと感じたのは、見える景色があまりに違うという点でした。たくさんのものが身近に見える。だけど、ただ、見えるだけではなく、見晴らしを利用して「狙いを定め」ないと駄目だろう、とも思います。見るだけじゃ、楽しくない。

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※ロールテールモデル思考法について
荒唐無稽ながら私はホームズにおける何がいったい自分へ強い信号を発しているのかを徹底的に自問してみることにした。作品を繰り返し再読し、どの部分が強い信号を発しているのかを吟味した
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⇒なるほど、そんな「好き」の探り方もあるのかと。

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※ロールテールモデル思考法の実践について
第一に、信号をキャッチしたら「時間の使い方の優先順位」を変えて、「勝負だ!」とばかりに好きなことに打ち込むことである。
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第二に、「時間の使い方の優先順位を変えるにはまず「やめることを先に決める」ことである。それも自分にとってかなり重要な何かを「やめること」が大切だ。
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第三に、「長期「なりたい自分」と短期「なれる自分」を意識して、現実的であることだ。「好きを貫く」ことは長期戦である。「なりたい自分」が仮にイメージできたとしても、すぐ明日にはそれは実現しない。短期的には「なれる自分」を積み重ねながら「時間の使い方の優先順位を常に意識し、ロールテールモデルの引き出しも増やしつつ、こつこつと長期にわたってしたたかに生きること。
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⇒時間の使い方の優先順位、これは時間が足りなくなるような人生を送って初めて意識できることだと思いました。時速30kmで走ってる人には理解されない・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ウェブ屋
感想投稿日 : 2010年4月5日
読了日 : 2008年6月1日
本棚登録日 : 2008年6月1日

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