金曜日の本屋さん (ハルキ文庫 な 17-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2016年8月9日発売)
3.55
  • (52)
  • (148)
  • (182)
  • (19)
  • (5)
本棚登録 : 1444
感想 : 169
3

何を読もうかとランキングを物色し、上位にあって皆さんの評価もまずまずというところでこの本を買ってみた。
高校の同級生・男女3名で営む駅の構内にある書店が舞台。
実在の駅ではないのだろうが、この前、北関東へ出張した時のJRから東武線に乗り換えた駅と、その跨線橋の上にあった書店はまさにそんな雰囲気の場所だったように記憶する。
ネットで“読みたい本が見つかる本屋”との噂を頼りに、主人公がここに辿り着くところから始まる。
そこで起こる事件に、本の中身を織り交ぜたお話が4つ。
「白鳥の歌なんか聞えない」「長いお別れ」「モモ」「家守奇譚」が題材になり、それぞれの作品の中のセリフや文章が物語の要所で再現され、大事な役目を果たす。
私、チャンドラーの訳者で清水俊二さんや双葉十三郎さんの名前が出たのには思いっきり懐かしいと感じたし。マーロウに出会ったのはもはや大昔。
それ以外でも結構沢山の本が登場し、書店を舞台にした作品ならではのお愉しみ。
サクサクと読めて、深みはないが口当たりは悪くない。登場人物の造形も良くある感じだが、悪い感じはしない。(主人公の、ファザコンお坊ちゃま振りと、かわいい女店長への思いが表現されるのが、いちいち鬱陶しいけど)
主人公と書店の3名の内2名の育ちが明らかにされたが、店長の過去については仄めかされたのみなので、これはto be continued?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2016年読んだ本
感想投稿日 : 2016年8月27日
読了日 : 2016年8月23日
本棚登録日 : 2016年8月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする