太平洋に浮かぶ小さな島国、ナウルについて、西洋人が到来してから2005年くらいまでの様子を、富裕な国家が最貧国に転落していく過程を中心に描いています。
Easy come, Easy Go を地で行く話しです。
リン鉱石の採掘の際には、島民が一切働かず政府が現金を支給していたのは、アラブの産油国も一緒ですね。オーストラリアドルで鼻をかむ話しは、日露戦争時の好況時にお札を燃やして懐中電灯かわりにした話しを思い出しました。
金を渡したりするだけではなく、各家庭に家政婦を派遣していたというのもすごい話しです。で、今になって家事を学ぶ為にフィジーに留学するというのも、唖然とする話しです。
転落の過程も唖然とする話しが多く、タックスヘイブンとしてペーパー銀行が乱立してマネーロンダリングが行われていたことくらいはわかりますが、パスポートを販売して、その収益が大統領に流れていたことは唖然とさせられます。
そして、結局は、オーストラリアが難民入国拒否をするために場所を提供するというハメになるのが切ないです。
一方で、庶民の生活も、ガソリンがない、銀行にお金がない、商店の棚が空っぽと、かなりすごいことになっています。政府の役人が、食料を確保するために夕方釣りに行くというのもすごい話です。結局、経済破綻をすると物々交換に戻るというのが良くわかります。
個人的には、狭い島で、人口が1万人もおらず、大した娯楽がないので、みんな車で島の道路を何周もドライブするみたいなところには、とても住めないな、と思いました。
最後に著者がインタビューで答えていますが、ナウルの人たちはお金に対して、我々とは違う認識。もうちょっというと興味がなかったのかもしれません。
今後、この国が立て直されて行くことを期待します。
- 感想投稿日 : 2018年1月28日
- 読了日 : 2018年1月27日
- 本棚登録日 : 2018年1月27日
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