Tom Lake: The Sunday Times bestseller - a BBC Radio 2 and Reese Witherspoon Book Club pick (English Edition)

著者 :
  • Bloomsbury Publishing (2023年8月1日発売)
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感想 : 1
5

おもしろかったし、すごくよかった。すごく好き。訳書が出たらもう一度読みたいかも。
ここの感想にも先日書いたけど、読みはじめて「Our Town」という舞台の話が出てきて、知らなかったので映画化された「我等が町」を配信で見てみたのだけど、見て大正解だった。っていうか見ないとこの本の内容がよくわからなかったかも。

ストーリーは、アメリカで果樹園を経営する一家の、妻ラーラが主人公で、娘が三人いて、コロナのせいで大学から実家に戻っている娘もいて、久しぶりに家族全員でさくらんぼの収穫に忙しくするなか、娘たちにせがまれて、ラーラが若いころの一時期だけ女優をしていたこと、今や人気スターになっている男性俳優とつきあっていたことなどを話していく、っていう。ミステリではないから事件とかではないし、それほど驚くような話とかではないのだけど、ラーラの過去が少しずつ明かされていくのがなんだかスリリングに感じて引き込まれたし、最後に、ラーラ―が娘たちにも夫にも話さなかった事実がわかったときはけっこう衝撃的だった。

過去パートで、高校生のラーラが町で行われる舞台のオーディションを受けて、プロデューサの目に留まって女優の卵としてLAに行き、映画やCMに出て、やがてトム・レイクという町で「Our Town」の舞台に出ることになり、って具合に、エンターテイメント界の舞台裏とか、演劇ができるまで、みたいなことがわかるようなところもすごく楽しかった。
あと、湖があって美しいトム・レイクでの日々は青春恋愛モノみたいにきらきらしているし、あと、果樹園の様子だとか風景描写も美しくて、さくらんぼ農園行ってみたい、とか思った。

若いころの輝くような夢や希望や期待や冒険があって、でも、つらい経験や挫折やひどく傷つくこともあって、夢や期待は結局かなわなかったりするけれど、そこからまた立ち直って、年をとっていく。今の、穏やかで落ち着いた生活に満足していて、挫折や心の傷があっても、そのことで苦悩したり後悔したりしない、そういう人生は愛おしい、みたいなことをすごく感じた。
後悔したりしない、っていうのは人それぞれなのかなあとかも思ったけれど。ラーラはそういう人だったわけで……。

あと、最初、いかにも農家の主みたいな感じがした夫ジョーが、若いころなにをしていたかがわかったとき意外性に驚いて、なんだかそれがすごく印象に残っている。ジョー素敵、 ラーラ―、ジョーを選んで大正解とか思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 洋書
感想投稿日 : 2023年12月29日
読了日 : 2023年12月29日
本棚登録日 : 2023年12月29日

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